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「トクサイ(特別採用)」~頻発する企業不祥事から思うこと~

東芝、東洋ゴム工業、三菱自動車、スズキ、日産自動車、スバル、神戸製鋼、三菱マテリアル・・・、日本の超優良企業がなぜ?

企業の品質や経営のデータ改ざん、日本のモノづくりに対する信頼が大きく揺らいでいます。

三菱マテリアルの子会社や神戸製鋼の不正は、素材の検査データを改ざんしたと報告されています。

これらの不正では、主に、

・現場の課題:甘え、重圧

・過剰品質:材料に求める要求仕様が厳しい

・経営者の意識:品質よりも効率に

の3点が関わっていると思います。

 

トクサイ(特別採用)とは? 甘えの原因

以前、モノづくり企業で技術部門や品質管理部門の管理職をやらせて頂いていた頃があります。

その際に「トクサイ(特別採用)」ということを知り、実際に運用していました。

「トクサイ」とは規格や仕様から多少外れた製品でも、安全性や性能に問題がなければ使う側(需要家)が買い取る措置で、品質管理の仕組みに関する国際規格の「ISO9001 」でも認められています。

工場の立ち上げ時には、機械の精度や材料の特性及び作業者のスキル(工程管理能力)が安定しないため、製品の性能のばらつきが非常に大きくて、これにより、お客様と取り交わした数値を外れることもありました。

その際は、外れたものを一旦保留にして、お客様に「特別採用申請書」を提出して、保留品の扱いについて協議を行います。

お客様にとっては迷惑な話ですが、この保留品を使わないとお客様の生産数量が落ちたり納期が遅れることになるような場合は協力して頂けます。

協力とは、その保留品を使って性能テストを行って、製品として問題がないことを確認することです。

場合によっては、使えると判断されても、正式な仕様を満たしていないので、値引きして納入ということもあります。

では、この「トクサイ」が何度も続いたらどうなるでしょうか?

納入する側は、受ける側(お客様)に、問題がなかったら「仕様の数値を変更」してくれないかと思いますし、問題がなければ数値を改ざんして合格の数値に変更して出荷しようと考えるのではないでしょうか。

受ける側は、決めた仕様を簡単には変更することはしません

長い時間をかけて決めた仕様を相手の都合で、問題ないことが分かっていても、変更することはしてくれません。

そのため、「いつまでに、どうやって」仕様書に記載した数値のものを納入することができるかと「改善計画書(対策書)」なるものを要求してきます。

日本の製造業の良いところは品質が良いことですが、社会(消費者)の要求に対して「過剰品質」になっているものもあるかと思います。

先日、ある一部上場の技術のOBの方と話をしていたら、「自分が勤めていた会社では、20年以上も前に「トクサイ」という制度はなくなった。まだ存在しているとは驚きである」とのこと。

「トクサイ」やこれに準ずる制度や仕組みをなくしていくことを目指して双方が検討することが必要と思います。

 

現場への重圧

素材メーカーや部品メーカーを取り巻く環境は厳しさを増しつつあります。

人口減少に伴う国内市場の縮小が進め一方で、自動車関連業界をはじめとする大口需要家から、値下げや納期短縮などの厳しい要求を突き付けられています。

それは、経営者や営業から末端の製造現場に、直接的なあるいは無言の重圧になっています。

そのため、「自らの組織・会社」を守るという意識が働き、改ざんという方向に走ったと推察します。

人は個人的には非常に高い倫理感を持っていたとしても、組織の中では何か理由を付けて異なる行動をとることも考えられます。

工場長や製造担当の役員が、社長の想いを「忖度」して、誤った判断を行う可能性もあります。

また、経営陣と現場の意識の違いもあるかと思います。

 

経営者の意識の変化

品質に対する経営者の意識も変わってきている可能性もあります。

従来、日本の製造業は品質の高さに重きを置いていましたが、経営者に品質に関する意識が薄れ、コストや納期を優先(効率化)するようになっていることも考えられます。

「AIやIoTに代表される第4次産業革命」の進展もあり、5年先も見通せない先行き不透明感が強まる中で、モノづくりのノウハウを地道に蓄えて品質や生産性を高める取組みより、目先の収益確保に走る傾向が強まっている可能性があります。

欧米の企業との間では、今回のデータ改ざんは「契約不履行:約束した仕様をみたしていない」や「詐欺罪:データ改ざんはだましである」と捉えられ、多額の損害賠償請求や場合によっては刑事告発がなされる可能性があります。

今回の一連の不正問題は、日本の製造業にとって、「品質とは何か?」を関係者全てが考え直す契機になると前向きに取らえていく必要があります。

 

再発を防ぐ:組織風土の変革

検査は内容にもよりますが、ほとんどの検査項目は、機械が測定して、その結果は自動的にサーバーに取り込まれて、判定は機械(コンピュータ)が自動的に結果を出すようになっています。

ただし、ほとんどの場合、運用しやすいように、人が介入する仕組みを設けていると思います。

先に紹介したように「トクサイ」のように、だんだんと感覚が麻痺していくことが考えられます。

今後、抜本的な会社全体の組織風土の変革が必要になってきています。

大企業はなかなか体質を変えることは難しいですが、中小企業の場合、社長の考えを変えることで比較的短時間で「組織風土」を変革することができる可能性があります。

「組織風土の変革」は、「事業承継」のような大きなイベントに合わせて行う場合もありますが、例えば今回の一連の不正の新聞等の報道をきっかけとして、行動を起こすことも可能と思います。

 

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