「経営・業務の改善」(4)5S活動「整頓」
(本記事は2015年9月に投稿したものを2020年7月に一部編集をしています)。
前回は「5S活動」の第1ステップの「整理:いらないものといるものを分けていらないものを捨てる」について紹介しましたが、今回は第2ステップの「整頓」について紹介します。
整頓の基本
「整頓」とは「必要なモノが、いつでもすぐに取り出せるようにすること」「必要なモノを使いやすく配置すること」です。
先の「整理」で、「必要なモノ」だけが残った状態が必要です。「整理」が不十分で実施しても効果が少ないです。
このときに最も大切なことは「検索性」(スピーディーに取り出せること)です。
また、継続性を考慮して、複雑なシステムにせずに、なるべくシンプルに、更にコストをかけない工夫も重要です。
寸法ぴったりの細か過ぎる仕切りや、使うたびに崩れて誰かが時間をかけて整頓し直さなければならないようの収納は適切ではありません。
「整理」によって不要品がなくなったので、以前よりも「スペース」に余裕が出ると思いますが、これは将来の有用なモノの保管のために確保すべきものでスペースがあるからといって制限なくモノを購入すると元の「整理前」の状態になってしまいます。
「整頓後」のモノの占有率が「60~70%位」に管理できるように、定常的に不要品を廃棄していく必要があります。
前号で「整理前の状態を画像で残す」と示しましたが、今度は、この「整頓後の状態を画像に残して」下さい。そうすると前後で、効果が一目で確認でき、達成感を得ることができると思います。
さらに「整頓後の画像」を「あるべき姿」として、掲示などの方法で共有することにより、その後の乱れを防ぐ対策になります。ただし、あまり掲示し過ぎると美観の面で問題になることもあるので注意が必要です。
見て、皆が「美しい」という状態が理想です。
整頓の進め方:「3定」と「見える化」
「3定」で整頓
「3定」とは、「定品」「定量」「定位置」のことです。「定められた品物(必要なモノ)を、定められた量だけ、定められた場所に置く」ことです。
「整理」によって必要と判断したものを、使用状況により算出した必要な量を、使いやすさや作業の流れから決めた場所に置くことです。
この「3定」は、実際に関わる人が「対話」により決めていくのが良いと思います。
「整理」の段階では、「廃棄基準」を設定する判断が必要でしたが、この「整頓」の段階は、現場の人が中心になって、経営者や管理職はアドバイザーに徹した方が良いと思います。
「見える化」で常に関心を
「常に自分で見ている」あるいは「人に見られている」ときは、継続するものです。
例えば書類を収納するキャビネットは、中が見える方が「整頓」の状態が継続します。
機密書類以外は、オープンの棚か、ガラス扉のものが良いと思います。中が見えない扉の場合、見た目は良いですが、中がひどい状態になり、乱れに気付くことが遅れてしまいます。
清掃用具もロッカーに入れるのではなく、壁に定位置を決めて、見えるようにした方が乱れが少なくなります。
机の引き出しは、中が見えるようにはできないので、各引き出しにいれるものを決めて、開けたらその整頓状態が一目でわかる工夫が必要です。
机の引き出しやかばんの中は、入れる場所を決めていないと「ごちゃ入れ状態」になり、探すのに時間がかかることになります。
たまに、名刺交換の際に、かばんの中のどこにあるかをその場で探す人に会いますが、定位置を決めて、習慣化されていればそのようなみっともないことにはなりません。
整頓の思い出
東日本大震災の時ですが、その時、千葉県にいて、会社でデスクワークをしていました。最初は大したことはないと思っていたのですが、これまでと違い、どんどん揺れが大きくなって、さすがに恐怖を感じました。
確か「震度5」だったと思います、東北の被災地に比べたら軽い揺れですが、これまでにないことなのでかなり驚きました。
幸いにも、負傷者もなく、設備の被害も大したことはありませんでした。
その地震の時に「ある管理職のキャビネット」だけが、扉が開いてなだれのように書類が流れ出しました。配布された会議資料を「整理・整頓」せずに、見えない場所に山積みしていたのが原因です。
個人に割り振られたキャビネットの中は、各個人に任されていて、見えない扉でしたので、誰も平常時は気が付きませんでした。
これは一例で、中が見えない扉の中は、どうなっているか、個人任せにしているとひどいことになります。
今回は、「5S活動」の第2ステップの「整頓:必要なモノが、いつでもすぐに取り出せるようにすること」について紹介しました。
前号の「整理」と合わせて「整頓」までが、「5S活動」の基本ステップです。
その後の「清掃」「清潔」「しつけ(躾)」は、「整理・整頓」で得た状態を有効に使用して、「5S活動」をいかに定着させて、会社の良い風土として根付かせるかのステップです。
次回は、まとめて3つのステップについて紹介しますのでぜひお読み下さい。
ここで紹介している「5S活動」は有効に機能すると、会社の「経営・業務の改善」に大きな効果が得られると思います。
「5S活動」で業績を伸ばしたい方、ご連絡下さい。、「経営・業務の改善」に取り組んでいらっしゃる中小企業のために活かしたいと思っていますので、興味がある方はご連絡下さい。
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