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事業承継の3つの類型と診断票

(本記事は2017年6月投稿を2020年5月に一部修正しています)

中小企業の経営者の高齢化が進み、現在、多くの中小企業が事業承継の時期を迎えています。

2019年12月、経済産業省によると、2025年に70歳を超える中小企業経営者が「245万人」になり、そのうち半数は後継者未定という厳しい状況です。

政府は、後継者未定企業(約120万者)の約半数の「60万者(黒字企業を想定)」を今後10年間に「M&A」による承継を行うことを目標にしています。年に「6万者」という非常に高い数値です。なお、直近の1年間で「4,000者」なので、10倍以上を目指しています。

当然、「M&Aに関係するコンサルタント」を増やしていく必要があります。1人が年間6件を成立させても、「10,000人」のコンサルタントが必要になります。

今回は、事業承継の「3つの類型」の説明と、金融機関や商工会議所及び当社のような「事業承継」を専門としている相談員が最初に行う主な質問内容(診断票)を紹介します。

 

事業承継の3つの類型

事業承継の類型は、①親族内承継②親族外(役員・従業員)承継③社外への引継ぎ(M&A)です。

 

1 親族内承継

現経営者の子をはじめとした親族に承継させる方法です。

メリットとしては次のことが挙げられます。

・他の方法と比べて、内外の関係者から受け入れられやすい

・後継者の早期決定により長期の準備期間の確保が可能である

・相続等により財産や株式を後継者に移転できるため、所有と経営の一体的な承継が期待できる

ここ数年は、事業承継全体に占める親族内承継の割合が急速に落ちてきています

子供がいない場合もありますが、いても「事業の将来性や不安定な経営」に対する不安があり、より安定な職業につくケースが多くなっています。

経営者である親も子供に苦労させたくないという気持ちもあります。

 

2 親族外(役員・従業員)承継

「親族以外」の役員・従業員に承継する方法です。

メリットとして、次のことが挙げられます。

・経営者としての能力のある人材を見極めて承継することができる

・社内で長年働いてきた従業員であれば経営の一貫性が保ちやすい

親族内承継の減少を補うように、親族外承継の割合は近年増えてきています

これまで親族外承継の課題であった「資金力問題」については、次の点で緩和されてきたことによります。

種類株式や持株会社従業員持株会を活用する方法の浸透

・親族外の後継者も「事業承継税制」の対象になったこと

 

3 社外への引継ぎ(M&A)

株式譲渡や事業譲渡により「第3者」に承継を行う方法です。

メリットとしては次の点が挙げられます。

・親族や社内に適任者がいない場合でも幅広く候補者を外部に求めることができる

・現経営者は、会社売却の利益を得ることができる

M&Aは過去は大企業が中心でしたが、近年は中小企業の後継者の確保の難しさから増加傾向にあります。

中小企業のM&Aを手掛ける民間仲介業者が増えてきたことや、国の事業引継ぎセンターが全国に設置されたことも増加の要因になっています。中小企業・小規模事業者のM&Aでは、ネットを使ったマッチングが増えてきています。

M&Aの場合、受け継ぐ側が価値を見出さないと成立しなく、現経営者が利益を得ることができません。

そのためには、計画的に企業価値を高めておく必要があります。

 

事業承継診断票

中小企業庁の「事業承継ガイドライン」に示されている、金融機関や商工会議所及び当事務所のような「事業承継」を専門としている相談員が、最初にヒアリングを行う際に使用する質問内容です。

これにより、最初に示した「3つの類型」のどれが最も可能性が高いか、現状のどこに問題点があるかを把握するものです。

Q1:会社の10年後の夢を語り合える後継者候補がいますか?

*「はい」⇒Q2、「いいえ」⇒Q7

Q2:後継者本人に対して、会社を託す意思があることを明確に伝えましたか?

*「はい」⇒Q3~Q6、「いいえ」⇒Q8~Q9

Q3:候補者に対する経営者教育や、人脈・技術などの引継ぎ等、具体的な準備を進めていますか?

Q4:役員や従業員、取引先など関係者の理解や協力が得られるよう取り組んでいますか?

Q5事業承継に向けた準備(財務、税務、人事等の総点検)に取りかかっていますか?

Q6:事業承継の準備を相談する先がありますか?

Q7:親族内や役員・従業員等の中で後継者候補にしたい人材はいますか?

*「はい」⇒Q8~Q9、「いいえ」⇒Q10~Q12

Q8:事業承継を行うためには、候補者を説得し、合意を得た後、後継者教育や引継ぎなどを行う準備期間が必要ですが、その時間を十分にとることができますか?

Q9:未だに後継者に承継の打診をしていない理由が明確ですか?(後継者が若すぎる など)

Q10:事業を売却や譲渡などによって引継ぐ相手先の候補はありますか?

Q11:事業を売却や譲渡などについて、相談する専門家はいますか?

Q12:実際にその専門家と相談を行っていますか

 

※Q3~Q6で1つ以上「いいえ」と回答した方

円滑に事業承継を進めていくために、事業承継計画の策定による計画的な取り組みが求められています

※Q8~Q9で1つ以上「いいえ」と回答した方

企業の存続に向けて、具体的に事業承継についての課題の整理や方向性の検討を行う必要があります

※Q10~Q12で1つ以上「いいえ」と回答した方

当事務所など事業承継の専門家に相談下さい

上記の「Q1~Q12」の流れを次に示します。

事業承継は、個々の会社の実状によって進め方は異なります。

1つの方法にとらわれない柔軟な対応も必要です。

まずは、現経営者が会社の将来を考えて、事業承継を実施する気持ちになることが大事です。

 

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