経営計画の策定(2) 経営をなめるな! 倒産原因とその対策
前回は、経営計画の目的による分類を紹介しましたが、今回は「経営計画がない」ことによる倒産について述べます。
経済状況(景気)が低迷する中、日本では、1日500社程が倒産していると推測されます。
倒産や資金ショートの原因と対策について紹介しますので参考にして下さい。
ここで示す内容は、現状分析(財務面・事業面)を行えば明確になります。
直近3年の財務諸表(貸借対照表、損益計算書)をご提供頂ければ、現状分析を行い、必要に応じて「対策検討」の支援をさせて頂きます(有料:費用は要相談)。
直近の倒産の兆候
次に示すことに現状が該当するようであれば、直近に倒産の危険に晒される可能性が高いです。
●ライバルの出現や販売先の減少で、売上の急激な減少になっている
●不十分な計画による事業拡大で予想以上の赤字計上をしている
●ベテラン社員が退社し、業務が滞っている
●改革・革新の努力がなく、経営手法がマンネリ化して、段階的な生産性の低下に陥っている
●第三者要因である「連鎖倒産」の危機にある
●支払手形が買掛金の50%を超えている
●受取手形が売掛金の50%を超えている
●特定販売先の売上高が全体売上高の50%を超えている
●固定費が、変動費を超えている
●販売関係費よりも管理関係費が上回っている
2年以内の倒産の兆候
直ぐに倒産の危険はないが、次の場合は、そのまま放置していると2年以内に倒産する可能性が高くなります。
1項目でも該当する場合は、直ちに対策を検討する必要があります。
●3年にわたって「経常利益」が上下20%の範囲で推移している(マンネリ)
●過去3年間にわたって「売上・利益」が緩やかに減少している
●向こう3年間にわたって「売上・利益」の緩やかな減少が予想される
●業界全体が成熟期にある
●粗利益が低い収益構造になっている
●経営者が20年以上実権を握っている
●社員に対してインセンティブ制度がない *社員の意欲向上は別ブログで紹介予定
●資金繰り表の作成がなされていない
主な倒産の原因と対策
上記の中で主な倒産原因に対する対策を示します。
経営思考のマンネリ化
① 改善ではなく、一度全部を壊して新たに造るという思考
② 目に見える分かりやすい数値目標の設定、理解と納得と共感
③ 給与体系の成果報酬型への変更
④ 従業員の配置替え、入れ替え
⑤ 売上主義から利益主義への発想の転換
ライバル出現
※まずは自社との差異を分析する
① 価格対応(緊急措置)
② お客様のニーズに合った新たなサービスの提供
③ 商品価値の向上化
販売先の減少
① 既存販売先の販売アップ戦術の立案
② 新たな販売先確保
③ 人件費を含めた経費の即刻の見直し
資金ショートの原因と対策
資金ショートの原因と対策を示します。
利益が出ていても、資金がつながらないと最悪の場合倒産に至ります(黒字倒産)。
そのためには、きちんとした計画と管理が重要になります。
現・預金残高の過少
必要な運転資金は最低いくらあれば良いのか?
・可能ならば1ヶ月分の売上額、難しければ販管費の1ヶ月分
・遊休資産を売却して現金化する
・銀行から借入をする、ただし返済原資の確保が見える場合のみ
・長期的には営業利益を増加させる計画を作る
年次経営(事業)計画がない
多くの中小企業経営者は、経営計画書を作成していないのが現状です。
それは、計画書作成の知識がないか、必要性をさほど感じていないかのいずれかです。
その結果、場当たり的な行動しかできていません。
一応、計画書があれば、予定通り行っているかの確認を通して、その都度、対策を打つことができます。
資金繰り表を作成していない
現実は、中小企業の2割程度しか資金繰り表を作成・運用していないと推測されます。
経営者の頭の中にある「感ピューター」に頼っています。
これでは、入金・出金の予定が正確につかむことができません。
資金繰り表があれば、先の資金ショートに対して、事前に対策を打つことができます。
不十分な計画による設備投資、事業拡大
倒産の主な原因の一つです。
「設備投資」の場合は将来予測の誤り、「事業拡大」の場合は計画の甘さによります。
双方とも経営者の独断によるところが多いです。
対策としては、社内での検討に加え、外部の第三者の意見も合わせた上で計画を考えることです。
売上の急激な減少
大口の販売先からの契約解除等に対応するために、販売先の一社集中を避けることが必要です。
全体売上比率の中で、一社に20%を超える依存は危険です。
販売先は「永遠ではない」との認識を持つことが重要です。
今回は、起こりたくない「倒産」について述べましたが、倒産を防ぐ手は「経営計画」と「管理」です。
先にも示しましたが、「資金繰り表」を運用している中小企業は2割ほどで、管理がなされていない会社が多く存在します。
当事務所では、「経営計画」の策定支援だけでなく、その後の運用での管理の面でも支援をさせて頂き、倒産を未然に防げるようにしたいと思っています。
関連記事
-
-
事業継続に不安を感じた時に:大きく3つの選択
事業の継続に不安を感じた時の手段は、大きく次の3つです。 (1)経営改善(再生) …
-
-
日本の生産性が低いのは「中小企業が多い」ことが原因?
「プレジデント誌」で短期集中連載として、小西美術工藝社・社長の「デービッド・アト …
-
-
コンパクトシティ・スマートシティ?
東京一極集中の現状 2020年5月、東京都の人口は「1,400万人」、この20年 …
-
-
預金と借金の適正額・自宅の守り方(1)
当社((株)事業パートナー九州)が連携しています、数多くの事業再生を成功している …
-
-
DXは単なるデジタル化ではありません
菅総理大臣に替わり「デジタル庁」をはじめ、「デジタル化」・「IT化」が話題になっ …
-
-
「労働分配率経営」で社員のやる気向上、会社の発展を!!
皆さん、会社の業績をどのように判断してますか? また、社員の給料をどのように決め …
-
-
利益を出し続ける(2)社員がやる気を出す仕組み
連携している「(株)事業パートナー」の投稿記事から、「利益を出し続ける仕組み」を …
-
-
「新型コロナウィルス」で事業継続計画の見直し
2020年6月25日の日本経済新聞に『TOTO、BCP見直し』という見出しで、「 …
-
-
中小・小規模事業者の「攻めの投資」を後押し
中小・小規模事業者の経営力を強化するために、昨年(平成28年)7月に施行された「 …
-
-
経営計画の策定(3)銀行を知ろう~各銀行の特色と対応~
企業の運営には「お金(資金)」が必要です。 金融機関からの借入がなく全て自分のお …