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経営戦略(6)戦略立案:どうやって勝つのか②

これまで、経営戦略について、「現状(自社、市場・競合)を正しく理解」することの重要性を紹介し、前回は、この現状分析に基づく「戦略立案」について紹介しました。

今号では、戦略についての考え方、立案の進め方について紹介します。

戦略立案の構成

経営戦略は、次の3つの戦略によって構成されています。

1.全社戦略

自社の事業領域(事業ドメイン)を設定することです。

この件は前々回の「経営戦略(4)」で紹介していますのでご参照願います。

事業ドメインは、①誰に、②何を、③どのように提供するか、を明確にすることです。

そのためには、自社の強みである「コア・コンピタンス(核となる力)」をしっかりと認識する重要性を示しました。

2.事業戦略

事業戦略は、実施する事業別に戦略の対象相手を誰に置くかによって、次の3つに分けられます。

中小企業の場合、ほとんどが単一事業と思われますので、その事業に対して3つの視点で検討します。

多角化経営で複数の事業を展開している場合は、その事業ごとに設定します。

① 競合戦略

② 得意先戦略

③ 仕入先・協力会社戦略

3.機能分野別戦略

保有する自社の機能を、上記の「全社戦略」「事業戦略」に基づいて、長期的に実施する方針、内容を検討します。

「研究・開発(R&D)戦略」「マーケティング戦略」「生産戦略」「人事組織戦略」「財務戦略」などがあります。

 

事業戦略

1.競合戦略

まず最初は、自社に対する競合を明確にすることです。

その明確にした競合について、先に分析した「自社の状況」と「5フォース分析で検討した既存競合同士の敵対関係」の内容に基づいて戦略を検討することです。

この検討について、3つのアプローチについて紹介します。

自社の状況に基づいて、方針を決定します。

① リーダーの戦略(コスト・リーダーシップ戦略)

自社が実施する事業が、他の競合先に対して優位な立場にある場合に実施する戦略です。

「現状の優位な立場」が「強み」ですので、更にその強みを強化し、競合を寄せ付けないようにする戦略です。

同じ駅前で飲食店を経営している場合、他の店よりも「仕入調達のコストダウン」や「調理の生産性を上げる」などの対策を行って、他の店よりも「価格優位性」を実現する方法です。

また、来店客数が多い強みを活かし、新メニューを取り入れて、継続客の確保、新規の客の取り込みを積極的に行う方法もとれます。

さらに、競合先が新たなメニューを発表した場合、同様のメニューを提供して防御することも効果的な戦略です。

② チャレンジャーの戦略(差別化戦略)

市場に同じ事業で、既に先行しているリーダー的な競合先が存在する場合、チャレンジャーに求められるのはリーダーの模倣ではなく、違う切り口で顧客へアピールすることです。

No1企業は必ずしも全顧客を押さえることはなく、半数以上はNo1の会社を支持しない顧客が存在していると思われますので、その顧客に対して、リーダー企業と異なる切り口で事業展開を行うと活路が開ける可能性が高くなります。

他社との製品やサービスを徹底的に差別化して、顧客に魅力ある存在になることにより、その業界でポジションを形成することができます。

③ ニッチャーの戦略(集中戦略)

ニッチャーは、リーダーやチャレンジャーが行わないような特定の「すきま」を狙って集中化する戦略です。

特定の範囲に限定して、徹底的にコストダウンや差別化をする戦略です。

「コスト集中」により、特定の商品・サービスに対して徹底してコスト削減を図る方法と、「差別化集中」によって、特定の顧客や製品・サービスに対して徹底的に差別化する方法があります。

後発で参入する場合は、先行と同じ内容を実施しても、対抗するのは難しいので、徹底した「差別化集中」を行うことにより、独自のポジションを形成し、その中で「自社の強み」を適用し付加価値を高めることで、「価格競争」に巻き込まれない展開ができる可能性もあります。

ただし、この戦略が軌道に乗ると、リーダーやチャレンジャーも参入してくる可能性があります。

そのため、更に付加価値を高め、参入障壁を高くしておく必要があります。

2.得意先戦略

得意先戦略は、先の「5フォース分析」で示した「買手(顧客)の脅威」で示したように、いかに「顧客に対して優位な地位」を得られるようにすることが必要です。

そのためには、徹底的にお客と接して、「顧客の求める価値」を追及する必要があります。

ただし、無理をして、顧客の要求、例えばコストダウンを受け入れて「自社の経営に悪影響」になることは避けるべきで、あくまで、顧客と「WIN=WINの関係」を築くことが必要です。

「それぞれが目指すべき目標をお互いに認め合い、認識した上でお互いの役割を果たし、利益・メリットを配分しあえる関係」を構築し、長く良好な関係を継続することが重要です。

3.仕入先・協力会社戦略

仕入先・協力会社戦略は、先の「5フォース分析」で示した「売手(供給先)の脅威」で示したように「仕入先・協力会社に対して優位な地位」を得られるようにすることが必要です。

そのためには、仕入先、協力会社と密に接し、情報を共有し、協力し合える体制を築くことが必要です。

原材料や部材、製品の流通の全体最適化(サプライチェーンの最適化)を重視し、仕入先、協力会社の「強み」を理解して、それを自社のために有効に使用できるようにできれば、重要な経営資源になり「自社の強み」にすることができます。

顧客との関係と同じように、いかに「WIN=WINの関係」を築くことが重要です。

 

機能分野別戦略

全社戦略、事業戦略を決定した後は、それを実現するために、自社内で行う、各機能(部門)ごとの戦略を決めて、より実行できるレベルに具現化する必要があります。

事業によって、様々な機能が必要になると思いますが、ここでは、主な機能について説明します。

1.研究開発(R&D)戦略

未来永劫、現在と同じ製品・サービスで事業を継続することはできません。

市場・顧客の要求するもの(ニーズ)は変化しますし、技術の発展により供給できるもの(シーズ)も変化していきます。

事業を継続するためには、大なり小なり、研究開発が必要になります。

飲食店の経営でも新しいメニューの開発が必要ですし、結婚式場でも新しい演出方法の開発が必要になります。

研究・開発には通常次のように分類されます。

① 基礎研究(特定の商業目的をもたない純粋科学的な研究)

② 応用研究(特定の商業目的のための科学的な研究)

③ 実用化研究(基礎研究、応用研究の成果を製品、製法として実用化するための研究)

大企業の場合は、①~③までを一貫して実施できますが、中小企業の場合、資金、人財の面で③の実用化研究が主になります。

中小企業の場合、次の点を有効に利用して、自社単独でできないことを実施することも可能になります。

顧客との共同検討:顧客の新製品開発の中に初期段階から参加して、研究開発の効率化を図る

大学やその他の研究機関との共同検討:場合によっては、大学の試験研究費あるいは国や地方公共団体からの資金援助が期待できます

異業種の他社との新商品の開発:連携によって、対象企業の「強みを組み合す」ことにより、ユニークな商品を開発できる可能性があります。

補助金・助成金の利用:良いアイデアがあるのに実施する資金が不足する場合、内容によっては利用できる可能性があります。

※なお、補助金・助成金については、別のブログで紹介する予定です。

2.生産戦略

製造業の場合、生産をどのように実施するかは重要な要素です。

生産戦略は「市場の需要予測」と「競合他社の生産(供給)能力」から、自社が必要な数量を設定し、それをどのように実現するかを決定することです。

① 市場の需要予測

これまでの市場の実績値、競合他社の実績、自社の実績から、今後の需要と自社の生産(供給)量を設定します。

需要予測では、「楽観的予測」「標準的予測」「悲観的予測」の3パターンを想定して、各パターンを実現できるシナリオを作成すると戦略に幅を広げることができます。

② 生産能力の把握・検討

上記の市場予測の各パターンについて、自社の製造工場(ライン)、協力会社の生産能力を考慮して、どこで生産したら最も効率が良いかを検討する必要があります。

これによって、自社の設備増強、新規の協力会社の開拓などが検討項目になります。

将来的な需要が不透明な場合、自社では全く生産せずに、設計だけを自社で行って、全てを外部に委託(アウトソーシング)する戦略もあります。

 

3.人事・組織戦略

会社の継続・発展で重要なものは「働く人(人財)」であり、その人財の能力を最大に発揮できる組織を構築することは必要です。

人事戦略では次の3つの視点が重要

① 採用戦略

「人は入社後の教育で伸ばせる」という意見もありますが、その人の持っている「資質」も大きな要素になります。

一昔前と比べ「一生同じ会社に勤める」という考えは多少は少なくなっていますが、就職を希望するほとんどの人は、まだ「一生勤める」気持ちで入社してくると思います。

最初から、「3年後は別の会社へ」「3年後に独立する」決意で来る人は、よほどの事情がない限りは少ないと思います(例えば親の会社を承継するための修行など)。

現在は、勤労者の減少により、中小企業での人の採用は、厳しい状況になっています。

これからは、募集する側の会社の魅力をアピールする姿勢が重要になります。

良い人財を集めるには、「良い会社:訴えることができる会社」が求められています。

② 人事制度

入社した人を定着させるには、人事制度の中で「賃金制度」が最も重要になります。

安定して良い人財を継続的に雇用するには、賃金面の欲求を満たす必要があります。

一昔前の「年功序列賃金」の要素はだいぶ薄れてきていますが、会社によっては何らかの形でまだまだ残っています。

これからは、優秀な人財に、周りが納得するような処遇を行うことが必要になります。

③ 人財育成

「人財育成」の基本は、「業務を通じての教育(OJT)」が最も有効であると思っています。

外部の研修もそれなりに有効な場合もありますが、これまでの経験上、効果は限定的で、業務と密接な関係がない場合は、時間とともにその知識も薄れていきます。

「書類の書き方(例えば設備購入やイベント開催の稟議書」や「社外・社内のプレゼン資料」は、上司がきちんと確認をして、対話を行い、指導することによりレベルが向上します。

稟議書で上司が「めくら判を押す」ようなことでは、その作成者のレベルは向上しません。

そのためには、会社の風土として、「何事もきちんと行う管理」が根付いてないと、あるいは「上司の能力」がないと、組織のメンバーの成長はありません。

外部の研修の場合でも、「資格を取るため」のようにアウトプットが要求されるものは意味があると思います。

組織の最適化

人財の能力を最大限に発揮するには、最適な組織を形成して、運用することが必要です。

① 組織形成の基本

専門化の原則

業務を機能別(営業、製造、購買等)、地域別、顧客別、製品・サービス別など、同じ視点で分類して、できるだけ従業員が単一の仕事に専門化できるようにすべきです。

これによって従業員は、それぞれがその役割について反復学習するため、必要な専門知識と熟練を容易に習得し、仕事の能率を高めることができます。

統制の範囲の原則

一人の管理者が統制できる人数は限界があります(8人が目安との説があります)。

管理すべき人の数が増えると、直接すべての従業員に指示を出したり、報告を受けることが難しくなります。

1ヶ月の中で、直属の上司と数回程度しか会話がないような組織は、たぶん、効果的な成果を得られないと思います。

近年は、取締役会の人数を減らして、有効な議論、意思決定を行う傾向もあります。

責任・権限の一致

従業員に、与えられた業務に対して、適切な権限とそれに相当する責任を与える必要があります。

「権限を与えられてないのに、責任ばかり追及する経営者」や、「権限ばかり主張し、業務に責任を持たない従業員」がないようにすべきです。

命令一元化の原則

従業員は、誰から指示を受けるかを明確にしておく必要があります。

上司から指示を受けたのに、後から社長から全く違う指示を受けた場合、従業員は対応に苦慮し、もっともそのようなことが生じる会社は、管理体制ができてないことになります。

② 組織の維持の基本

目的、目標の共有化

組織内では、その構成員は、全社の目的、目標に基づいた「所属する組織の目的、目標」を共有する必要があります。

組織のメンバーがバラバラな方向に向かないように、全員のベクトルを一致させる必要があります。

情報の共有化

組織が目標に向かって有効な行動を実施するためには、「全員で必要な情報を共有化」する必要があります。

組織の責任者は、メンバーと有効な「対話」を行い、情報の単なる伝達だけでなく、その真意についてよく理解させることが必要で、そのためには組織の責任者がきちんと理解することが前提になります。

成果の公正な分配

組織が成果を上げた場合、組織構成員に公正に分配されることが、組織の構成員のやる気になり、次の成果に結びつくことになります。

あらかじめ社内規程などで報奨に関する項目を定めておいて、適切な対応が必要になります。

 

4.財務戦略

財務戦略は、経営戦略では必須の項目です。

いくら良い製品・サービスができても、資金がなければ実行に移すことができませんし、会社が継続しないと意味が全くなくなります

利益がいくら出ていても、お金の流れが止まってしまったら、会社は生きていけなくなります(いわゆる黒字倒産)。

このために、「お金をどれだけ貯めているか?」「お金の調達先を確保しているか?」「資金調達先としての株主、銀行、取引先と良好な関係を築いているか?」などが重要な視点になります。

財務戦略を立案する前提は、「必要な資金(お金)」を決めてこれを実現するための「必要利益」を出して、そこから「売上」や「必要費用」を算出することが必須です。

「売上から各種費用を引いたのが利益」という成り行きの考えでは、会社の継続・発展は難しいです。

必要利益は、変更できない「固定費」と考えて、この目標値を実現するために各種の戦略的施策を実施しなければなりません。

自己資金で全て賄うようになるのが理想ですが、現実的にはほぼ不可能なので、金融機関からの融資を頼る必要がありますが、この場合も、「金融機関を利用する、制御できる」ように財務戦略を検討する必要があります。

金融機関に「利子を払い続ける」、最悪は「存続の命運を金融機関に握られる」ことは避けたいものです。

財務戦略に関しては、別途、別のブログ(次回のシリーズ)で紹介する予定です。

今号では、経営戦略として、「事業戦略」と「機能分野別戦略」について紹介しました。

「戦略の基本」は「選択と集中」であり、会社自体が状況に応じて「変化していく」ことが必要になります。

個々の会社の状況によって、「戦略」の内容は異なります。

北九州アシスト法務事務所は、主に、中小企業支援を業務とする行政書士事務所です。

経営者の方と一緒に、会社の現状を正しく分析し、その現状分析に基づいて、適切な戦略立案ができるように協力できることを願っています。

次号では、立案した戦略を実施レベルに持って行く、「計画立案」に関して紹介します。

 

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