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民事法務(2)成年後見

北九州アシスト法務事務所は、主に、中小企業支援を業務とする行政書士事務所です。

中小企業の経営者の方は、現状の事業の発展に日々奮闘されていることと存じますが、一方では、自分が亡くなった後の事業承継に関して、心配を抱えている方もいらっしゃるかと思います。

また、認知症など、自分の判断能力が低下することに不安をお持ちの方もあるかと思います。

無料の法律相談会に参加させて頂いたり、いろいろな方とのお話の中で「相続」「遺言」「成年後見」に関することが多いです。

前号で「相続・遺言の基礎的なこと」を紹介させて頂きました、今回、「成年後見」に関して基礎的なことを紹介させて頂きます。

 

成年後見制度

現在の成年後見制度は、平成12年4月に改正施行されました。

平成12年度は、約9,000件の申立てでしたが、平成24年の1月~12月の1年間では、約35,000件の申立てがあります。

その内、成年後見は、約21,000件(約60%)です。

成年後見制度は、大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。*違いは後述

法定後見には、対象となる本人の判断能力によって次の3種類に分かれています。

① 成年後見(最重度):精神上の障害により事理弁識能力を欠く常況にある者

・日常の買物ができなくなった(釣銭を数えられない)

・家族の名前がわからなくなった

・いわゆる植物人間になった

② 保佐(中程度):精神上の障害により事理弁識能力が著しく不十分な者

・日常の買物程度は普通にできるが、不動産の売買や賃貸借、高額なお金の貸し借りは困難

③ 補助(軽度):精神上の障害により事理弁識能力が不十分な者

・ささいなことでも怒りっぽくなった

・置き忘れや、しまい忘れが目立つ

・同じ事を何度も言ったり聞いたりする

ここでは最重度の「成年後見」について紹介します。

 

法定後見制度と任意後見制度

法定後見制度

本人が一人で日常生活を送ることができなかったり、一人で財産管理ができないというように、本人の判断能力がほとんどない場合に利用されます。

4親等内の親族や市区町村長(親族がいない場合)が家庭裁判所に申し立てて、家庭裁判所が後見人を決定します(ただし、後見人候補として申請することができます)。

後見人の報酬は、家庭裁判所が決め、本人の財産から支払われます。

任意後見制度

任意後見制度は、本人の判断能力が十分なときに、先を見越して自分の援助者になってもらいたい人と、あらかじめ必要とされる法律行為の代理を依頼する契約をしておくというものです。

任意後見契約は、公証役場において、公証人が契約に立会い、本人の意思を確認して作成する「公正証書」により締結する必要があります。

任意後見契約は、本人の財産を全部任せる内容の契約ですので、本当にその人と契約をするのか、契約の内容がそれでいいのか、ということを明確にして、本人の権利を保護するために、公正証書による契約が必要とされています。

*後見人の報酬は契約で定めます

契約締結後、公証人の嘱託により、任意後見契約は登記されます。

任意後見契約は家庭裁判所により「任意後見監督人」が選任されたときから効力を生じます。

*この申請は、任意後見人が主に行います(他の親族等からも可能です)。

 

後見制度の対象(何ができるのか)

成年後見人ができる内容について示します。

財産行為

*成年後見人は、本人が行った法律行為を取り消すことができます

*成年後見人は、身元保証人になることはできません。

① 事実行為としての財産管理

・預金の管理

・年金等の社会保障給付の受領

・保険や有価証券の管理

② 財産に関する法律行為(家庭裁判所の許可が必要な場合がある)

・売買契約

・賃貸借契約

・消費貸借契約

・保証契約

・請負契約

③ 財産に関する公法上の行為

・税金の申告及び納付

・登記手続き

身上監護

*後見制度では、成年後見人に「身上配慮義務」を課しています。

「身上配慮義務」とは、家事や看病といった事実行為である身の回りの世話そのものはしませんが、その人の体や心の状態や、生活状況に配慮するというものです

① 身上監護に関する法律行為

・医療契約

・介護契約

・施設入所契約

② 身上監護に関する公法上の行為

・要介護認定の申請

その他

*本人が亡くなった場合の葬儀は対象外で相続人が執り行います。

成年後見はあくまでも、生存中の身上監護や財産管理をしていく制度です。

ただし、相続人と成年後見人との委託契約で葬儀などの死後のことを行うことはできます。

 

成年後見の手続き

法定後見の手続きは次のようになります。

① 必要書類の収集:必要書類は後述

② 家庭裁判所に予約

③ 家庭裁判所に申立て、面談の実施

④ 家庭裁判所の調査 *本人の状態について「鑑定」が必要な場合も有り

⑤ 家庭裁判所の審判

⑥ 後見の開始

申立て先

本人の住所地(住民登録をしている場所)を管轄する家庭裁判所

*例えば、福岡家庭裁判所:小倉支部、田川支部 など

申立ができる人

本人、配偶者、四親等内の親族、成年後見人、任意後見人、成年後見監督人、市区町村長(身寄りがない場合)、検察官

*多いのは、本人の子供(約36%)、配偶者、兄弟姉妹

申立ての必要書類

① 申立書類:申立書、申立事情説明書、親族関係図、本人の財産目録及びその資料、本人の収支状況報告書及びその資料、後見人等候補者事情説明書、親族の同意書

② 戸籍謄本:本人、後見人候補者

③ 住民票の写し(世帯全部、省略のないもの):本人、後見人候補者

④ 登記されていないことの証明書

*後見の審判がされると、法務局で「成年後見登記」がなされます。戸籍には記載されません。

⑤ 診断書(精神科の医師でなくてもよい、主治医等)

*上記の家庭裁判所での面談の結果、「鑑定」が必要な場合があります。

⑥ 療育手帳などの写し

申立ての費用(事務費用)

申立費用(収入印紙):800円、登記費用(収入印紙):2,600円、郵便切手:2,980円 計:6,380円

鑑定が必要になった場合:5~15万円

手続きを専門家(弁護士、司法書士、行政書士など)に依頼の場合:別途必要

 

後見人の選任

後見人は、家庭裁判所が決定します。

申し立ての際に、「後見人候補者」を提示することができますが、実際にそのまま選ばれるかどうかは別問題です。

家庭裁判所は、「後見人候補者」と面談し、提出された資料(財産の資料も要求されます)も参考にして決定します。

*後見人候補者自身の資質に何ら問題がなくても、後々トラブルになりそうなケースや、財産管理が複雑で専門的な知識を要するケースなど、家庭裁判所の判断により、申立書に記載された候補者ではなく、弁護士や司法書士などの専門職後見人が選任されることもあります。

これまでの実績では、「48.5%が親族(平成24年)」で、その他が第三者(専門職含む)です。

後見人に「後見監督人(専門職)」が選定される場合もあります。

 

成年後見開始後の費用

成年後見人は、本人の財産から、「報酬」を受け取ることができます。

ただし、その場合、家庭裁判所に「報酬付与の審判」を申し立てる必要があります。

「報酬付与の審判」の申立てを受けた家庭裁判所は、後見人として働いた期間や本人の財産の額、後見人がした事務の内容等を考慮して、報酬を与えるかどうか、報酬を与える場合は幾らにすべきかを決定します。

*ただし、施設に会いに行くなどの後見の事務を行うための必要な費用は、その都度、本人の財産から支出することができます。

 

任意後見の場合の費用

任意後見契約は、契約の段階では、公正証書で作成する必要がありますので、その費用を加えて、約16,000円かかります。

後見が開始された際は、法定の場合とほぼ同額の費用が必要です。

後見開始後の「報酬」は、あらかじめ契約で決めておきます。

また、任意後見の場合、後見開始後に「後見監督人」が選任されますので、その報酬について家庭裁判所が決定します。

 

その他の制度

成年後見以外の関係する制度について紹介します。

日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)

認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な人が、本人自身で、「都道府県社会福祉協議会」などと契約して使用する制度です。

本人に契約を行う能力が必要ですが、「成年後見人のような、本人に対する援助の開始に必要な契約を締結できる方」が代わって契約をして、利用できる可能性があります。

専門員、生活支援員により、様々な福祉サービスや日常生活のサポートを受けることができます。

信託制度(契約で行う)

例えば、知的障害者の親(委託者)が、受託者に財産を移転して、その受託者が、知的障害者(受益者)のために、移転を受けた財産を運用あるいは処分し、その運用益や処分で得た財産を知的障害者のために使用する制度です。

知的障害者が死亡した場合は、委託者が指定した最終帰属者に承継させることを契約で行います。

これは「遺言」により実施することもできます(遺言信託)。

*受託者の権限濫用を防ぐために、「信託監督人」や受益者に「成年後見人」を付けておくと安心です。

信託先を「銀行」などに依頼する制度もあります。

今号では、前号の「相続・遺言」に続いて、同じ民事法務の中の「成年後見」に関して基本的なことを紹介させて頂きました。

法律相談会やそれ以外にいろいろな方とお話をさせて頂くと「親が認知症になった」「知的障害者の先行きが不安」など、「民事法務」に関するお悩みをお持ちの方が多くいらっしゃいます。

「成年後見」に関しては。「抵抗がある方」「どうしたら良いかわからない方」もあるかと存じますが、お困りのことがありましたら、当事務所にご気軽にご相談願います。

「相続」「遺言」「成年後見」などの民事法務は、個別の案件ごとに最適な方策が異なりますので、個別の内容(状況)をお聞きして、最適な方策を一緒に考えさせて頂きます。

また、この分野は、状況に応じて、弁護士、司法書士、税理士の力が必要になることもあります。

その際は、知り合いの各士業の方と連携して対応させて頂きます。

 

今回の民事法務関係の内容は次の資料を参考にしてまとめました。

●行政書士の学校の実務セミナー資料:相続業務、後見業務

●石井塾セミナー資料

●自由国民社「今日から成年後見人になりました」

●自由国民社「相続と遺言のことならこの一冊」

●自由国民社「成年後見のことならこの一冊」

●中央経済社「税理士・会計事務所のための成年後見」

●ユーキャン「司法書士合格指導講座テキスト1、2(民法)」

 

 

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