アベノミクスから「スガノミクス」へ
9月16日に新総理大臣(首相)に就任する菅義偉自民党新総裁の施策について幾つか報道されています。その内容は、今後の日本の構造改革につながるものがあり注目しています。
日本の生産性の向上
日本の生産性は、他国に比べかなり劣っている(低い)ことが報告されています。これを改善するために次の3つの施策を上げています。
1 デジタル庁の創設
2 中小企業の再編
3 規制改革
当社は中小企業の再編では「経営改善・事業再生」「M&A」の推進、デジタル化の面では中小企業の販促を支援する『売上向上支援パッケージ』でweb活用を推進していきます。
1 デジタル庁の創設
これまで日本のIT(情報技術)の活用は遅れているとの指摘・報告がありましたが、今回の新型コロナウィルス感染拡大に関して、「感染者数の把握」「給付金支給の混乱・支給遅れ」など、それが露呈しました。
この原因として、IT行政の担当が、内閣府や経済産業省、総務省などに分かれ、官邸が指示しても迅速な対応ができなかったことを指摘しています。
「デジタル関係の政策全般を責任を持ってみる部門が必要」との認識で「デジタル庁」の設置を示唆しています。デジタル庁は各省庁にまたがるデジタル部局を集約し、予算も一括管理して、各省庁のシステムの規格を統一しやすくする構想です。2001年にIT基本法を施行していますが、まとめる組織がなく責任の所在があいまいだったこともあり、今回見直しを行うとのことです。
2 中小企業の再編
菅新総裁は「中小企業の統合・再編」を促進すると表明しています。
日本の中小企業は、現在、小規模事業者を含め「約358万者」あり、企業全体の99.7%を占めています。
2020年の中小企業白書によると、従業員1人あたりの付加価値額を示す「労働生産性」の中央値は大企業の「585万円」に比べ、中規模企業は「326万円」小規模事業者は「174万円」に留まっています。下図のように企業規模が小さくなるほど生産性が下がる傾向があります。
日本生産性本部の調査では、日本の労働生産性は主要7ヶ国(G7)中で最も低く、アメリカと比べると約6割の水準です。中小企業の生産性が低いことが、日本経済の足かせになっています。
さらに今後の少子高齢化による労働力の急速な低下により、特に中小企業の労働力の不足が問題になってきます。
M&Aなどで企業規模を大きくすれば、経営の効率化や生産性の向上、研究開発などが図りやすくなります。
現行の制度では、中小企業であることで税制優遇や補助金などが受けやすい面があり、その企業規模の区分が企業を大きくする弊害にもなっていて、「中小企業基本法」の見直しを検討することを示唆しています。
3 規制改革
新型コロナ感染拡大で、時限的に特例的に措置している「オンライン診療」の恒久化を検討しています。また、教育のオンライン化も推進するとのことです。
さらに、次の見直し等を上げています。
・行政手続きの更なるオンライン化、脱はんこ、マイナンバーカードの普及
・地方金融機関の合併や再編
・携帯電話料金の引き下げ など
アベノミクスの中で浮かび上がった課題や取り残された点を明確にし、より改革を推進することを明確にしています。
現在の日本の経済は、昨年10月の消費税の引き上げ、その後の「新型コロナウィルス感染拡大」の影響で、深刻な状況になっています。この状態を打破するためには、明確な方向付けとそれを実行する強い実行力を持つリーダーが必要になっています。
持続化給付金、つなぎ融資の実施、雇用調整助成金などの施策で、踏みとどまっている(倒産・廃業を回避している)企業が多くあり、この秋以降に力尽きるところも多く出てくることが予測されています。
「会社は経営者があきらめた時につぶれる」、前を向いて、将来に希望が持てる施策を期待します。
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