赤字の会社でも売れる?『事業譲渡』M&A活用
『廃業相談受付中』*北九州商工会議所の会報(2021年2月)の記事の見出し
「後継者不在」「高齢化による体力・気力の衰え」に加え「コロナ禍による売上減少」などにより、廃業を考えている社長さんが増えています。
果たして、『廃業』しか選択肢がないのでしょうか?
国や地方自治体は、廃業ではなく、事業が継続できるように様々な施策を実施しています。
その中で、会社や事業を売却(譲渡)する「M&A」が注目を集めています。
弊社では、「(株)バトンズ」のシステムを利用して、中小企業のM&Aの支援を行っています。
経営状況が悪くても売れるか?
廃業を考えている中小企業の多くは、販売不振などにより経営状況が悪化しているところが多いのが実態です。
いわゆる「債務超過(財産よりも借金が多い)」の状態で、今、事業をやめて、売れるもの(土地・建物・機械・有価証券など)を売っても、借金(銀行や知人からの借入)を全額返せなくて、自分の家も取られてしまいます。そのため、苦しいけれど事業を継続して、状況を好転させようと頑張りますが、更に借金が増えて、行き詰まるケースもあります。
まずは、冷静に自社の状況を把握することです。
「今の財産と借金はどうなっているのか?」
「今の商品(製品)は今後も売れるのか?」
「自分の住んでいるところは、借金の担保になっているのか?」
後ろ向きのことだけでなく、前向きなことも考えましょう。
『自分の会社で自慢できるところはないのか(強み)?』
『自分の会社で買ってもらえるものはないか?』
自分だけで悩んでいても先に進めませんので、わかっている方に相談することをお勧めします。この場合、数人の方から意見を頂くことが重要です。
『事業譲渡』の方法がある 事業再生型M&A
会社を丸ごと売る(株式譲渡)場合、借金の方が多いと「ゼロ円(無償)」でも、買うところは出てきません。
それなら、「財産」と「借金」を分けて「財産」だけを売る方法 があります。これが『事業譲渡』です。
会社の中で、「有望な事業(黒字になっている)」を切り出して、そこに関わる「従業員や設備、販売先」をセットにして売ります。これなら買手が見つかる可能性があります。
借金については、元の会社に残して、債務圧縮(借金を減らす)の手法を使って処理します。
中小企業の場合、会社を丸ごと売るのではなく、この「事業譲渡」の方法を使えば、事業が引き継がれ、従業員の雇用も守られる可能性があります。
「強い意志」と「高度な手法」が必要
「財産」と「借金」を分けて処理する場合、対応を誤ると「大きな借金」を背負う可能性があります。また、借金を整理する段階では精神的な強さ(意志)が必要になります。
法律や制度では、困ったときに助けてもらえるものもあります。『法律は知っている者の味方』で、知らないことにより、助かる者も助からないことが生じます。
まずは、現状を把握して、冷静に考えて取り組むことが重要です。
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