(事業承継に民事信託を活用)認知症になったときの財産管理
中小企業の経営者は60歳を過ぎても、まだまだ元気で「事業承継」のことを考えない方が大半だと思います。
では、認知症になって判断能力がなくなってしまったらどうなるでしょうか?
・会社の株式を100%保有しているので重要事項に対して議決ができない(会社の機能が停止)
・個人名義の銀行口座が凍結され、これを防ぐには「成年後見人」を立てなければならない
・賃貸物件として運用している経営者所有のマンションを「介護施設の費用」捻出のために売りたいが売れない
などなど、問題が多発します。
*河合保弘著:家族信託活用マニュアル(日本法令)から転記
人の一生には、様々なライフステージがあり、そのステージごとに様々な悩みがあります。
亡くなった際は、「精神(心)」と「肉体」はなくなりますが、「財産」は残り、その財産に対しては責任をとることはできません。
上図のように、それぞれのステージに対応した「代理」「後見」「遺言」などの制度がありますが、必ずしも財産の願い・悩みを解決することはできません。民事信託は、使い方によっては、各ライフステージの課題に関して対応ができる方法です。
現在、経営者が高齢になり、後継者が不在の会社が多く存在します。「事業承継」「M&A」が注目を集めていますが、「民事信託」も「大承継時代」の有力な方法です。
民事信託とは?
民事信託は、財産の管理と承継を合わせて行うことができます。
委託者が自分の財産(不動産、株式等)の運用を、信頼がおける受託者(例えば長男)に委託し、その運用で得られた収益(マンションの賃料や株式の配当など)を受益者が受け取る仕組みです。
受益者は、委託者でもそれ以外でも可能です。最初の契約(信託契約)で決めておけば、委託者が亡くなった場合、受益権を他の方(委託者の妻や子ども)に移動することができます。
今後、この民事信託の事業承継への活用について、別のコラムで紹介していきます。
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