小規模M&Aのトラブル防止(2)企業調査(デューデリジェンス:DD)
前回、小規模M&Aのトラブル防止の方法として「表明保証」に関して紹介しました。
「表明保証」は、売手が買手に対して、○○社の財務や法務等に関して、問題がないことを表明し、それが事実ではなくて損害が生じた場合は、売手がその損害額を負担する、方法です。
前回には、この「表明保証」が、完全な保証になっていないことを例を上げて説明しました。
今回は、小規模M&Aのトラブルを未然に防ぐもう一つの方法『企業調査(デューデリジェンス:DD』について紹介します。
企業調査(デューデリジェンス:DD)とは?
専門家が、買手から依頼を受けて、買手のために実施する調査です。
この企業調査で問題点が見つかった場合、問題点による損失額を算出し、その額を購入しようとしていた額(株価等)から減額します。
また、問題点が深刻であったり、損失額が大きい場合は、M&Aの契約を破棄し、買手が購入しないことも可能です。
DDの種類
企業調査には、次の表に示す種類があります。
財務・税務DDは「公認会計士」「税理士」、労務・人事DDは「社会保険労務士」、事業DDは「中小企業診断士」など、各専門家が行います。
小規模M&Aでは、DDに多額な費用をかけることができない場合が多いので、企業の事業形態、交渉の過程でわかったことなどから、どんな調査が必要であるかを的を絞って行うことになります。
弊社の通常では、問題が起こりそうな「財務・税務DD」「労務・人事DD」を行います。
企業調査(DD)+表明保証 ★より安全に
企業調査は問題が起きそうな項目を中心に行い、その他の項目は表明保証で補完する方法が、小規模なM&Aではより安全な方法です。
小規模M&Aといっても、購入する企業(買手)にとっては、多額な負担であり、状況によっては会社の存続に影響を与える重要なイベントです。
そのため、購入の対象企業の状況を的確に判断し、適正な額で購入することが重要になり、企業調査(DD)は「小規模」であっても必要になります。
弊社では、買手の費用負担を少なくするために、各M&A案件の内容によって、必要最小限の企業調査を提案・実行します。
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