M&Aは成立後の「PMI」が重要
当社では、
・事業承継・M&Aの支援
・経営改善・事業再生・廃業の支援
・業績向上(販売促進、新商品開発、管理会計)など
・各種の補助金の申請支援(事業再構築補助金・ものづくり補助金)
を行っています。
最近、政府の施策が、経営改善計画書などの作成だけでなく「中小企業の継続支援(伴走型支援)」により力をいれてきています。
例えば、
・「経営改善計画」の実行支援(モニタリング)に補助金を増やす
・「事業再構築補助金」の採択後の継続支援要請
・M&Aの成立後の支援 など
各種の計画の策定や補助金の採択(補助計画の策定)は、それなりに労力を要しますが、その後の実行段階はよりパワーが必要になります。
専門家の支援では、計画策定・承認、補助金の採択の段階が一区切りで、実行段階では企業と離れるケースもあります。
M&Aの場合も同様で、売手企業と買手企業のマッチングに労力を要しますが、M&Aが成立後は、買手企業任せで専門家が手を引いたり、支援の手を緩めることもあります。
中小PMIの支援内容
2022年(令和4年)3月17日に、中小企業庁から、「中小M&Aによって引き継いだ事業の継続・成長に向けた支援メニュー」(略称:中小PMI支援メニュー)が公表され、その中で「中小M&Aガイドライン」が策定されています。
PMIとは?
「POST MERGER INTEGRATION」の略で、主にM&A成立後に行われる統合作業を言います。
M&Aの目的を実現させ、統合の効果を最大化するために必要なプロセスです。
中小PMIガイドライン
策定の背景
近年、事業承継の手段の一つとしてM&Aが注目され、中小企業を当事者とするM&A(中小M&A)が増加しています。
しかしながら、これまではマッチング等のM&Aの成立に向けた取組に関心が集まる一方で、M&Aによって引き継いだ事業の継続・成長に向けた統合やすり合わせ等の取組(PMI)については、その重要性や取組についての中小企業の理解が不足しており、支援機関も少ない状況です。
このため、M&Aを成功に導くためには「事業の引継ぎ(M&Aの成立)」と「引継ぎ事業の継続・成長(PMIの実施)」を車の両輪で進めることが必要との認識の下、中小企業におけるPMIの「型」を提示するとともに、これを推進する支援策をまとめています。
中小M&A・PMIの全体像
次に中小M&AとPMIの全体像を示します。
中小PMIガイドラインの構成
譲受側・譲渡側の会社規模等、個社の状況に応じて参照しやすいよう、PMIの取組を【基礎編】と【発展編】に整理されています。
【基礎編】
● 小規模案件を含めた、全てのM&Aにおいて基本となる取組事項や留意点等を解説しています。
● 主にM&A成立後に、譲受側と譲渡側が一体となってM&Aの目的を実現するための基礎固めの時期(M&A成立後100日~1年程度)において主に円滑な事業の引継ぎに向けた取組を整理しています。
● 特にM&A成立前後において重要度が高い譲受側と譲渡側の間において相互理解を進め、信頼関係を構築するための取組を充実させています。
【発展編】
● M&A成立後の事業の円滑な引継ぎだけでなく、中小企業でも対応可能なシナジー効果等を実現するために行う取組を整理しています。
● 基礎編の内容を押さえつつ、M&Aを契機として譲受側・譲渡側が一体となって成長するために、経営・業務における各領域をいかに統合するかを豊富な事例を交えて解説しています。
● 「経営統合」については、より一体となった経営に向けた、経営の方向性、経営体制、経営の仕組みを確立する取組を掲載しています。「業務統合」については、攻め(シナジー効果発現等)と守り(管理機能の改善等)の両面から取組を掲載しています。
中小企業のM&Aのマッチングに関しては、種々の企業が参入して、マッチングやその支援としての「企業価値評価」などが盛んに行われるようになりました。
一方、今回のPMIについての支援体制はこれからです。PMIの支援では、M&A実施のシナジー効果をいかに出せるか、出すにはどうしたら良いかが重要になります。
その中では、「販売戦略」「商品(製品)開発戦略」「人事・組織戦略」「財務戦略」などを総合的に、効果的に行う必要があります。
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