人手不足を乗り切る:人材を人財に!!
最近の中小企業の経営者からの相談として、「経営不振による借入金の返済」に加えて「人手不足」、それに関連する「外国人」の採用に関するものも多くなっています。
現在、ひと頃と比べて景気は良くなっている状況と言われていますが、各企業によって業績はまちまちです。
「仕事は多く入るが、人手が足りない」「もう少しレベルが高い仕事を取りたいが、それを担当できる優秀な社員がいない」という会社もあります。
「中小企業の場合は人は集まらない」という前提で考えていく必要があると思っています。
すなわち、今いるメンバーが辞めなくて、いかに能力を高めていくかがポイントになります。
経営改善は、人の改善が最も有効です。
今回は、「なぜ会社を辞めるのか?」とその対応について示します。
人手不足の対策
人手不足の対策は次の3つです。
(1) 既存のメンバーの生産性(能力)を上げる
(2) 女性・高齢者・(外国人)の雇用を真剣に考える
(3) 離職者を減らす
特に、(1)と(3)では、人材を「人財」に変える、「育てる」という考えが必要です。
会社の中の「ジンザイ?」
ある雑誌で見つけた「ジンザイ」の定義を示します。
私が勤めていた会社の職場は比較的人が多かったので、各ジンザイに当てはまる方はいたと思います。
私の会社での最後は、「人在」や「人済」だった気もします。
中小企業では、特に人が財産なので、「人財」に持っていく必要があります。
労働人口の減少が中小企業の事業に与える影響
2015年頃をピークに人口は減少し、年間50万人以上、すなわち2年で人数からすると北九州市が消滅していくことになります。
労働人口(15歳~64歳)は総人口の前に、2005年から減少に入っています。
労働人口の減少が事業に与える影響としては、次のことが推定されます。
① 従業員を確保できなくて、廃業や倒産が増える
② 人件費が上がって採算が取れなくなり赤字になる⇒廃業や倒産
③ 優秀な人材は大企業へ、優秀でない人材が中小企業という構図になり、つまり、中小企業は利益が上がらなくなる。
これを補うために、機械化、ロボット化、人口知能といった人間に代わる仕組みができあがっていきます。
これらの技術は、飛躍的なスピードで進歩し、産業構造を大きく変化させ、無くなる職業・職種もでてきます。
なぜ、従業員は辞めるのか?
最初から辞めるつもりで会社に入る者はいません。
多くの従業員は、「この会社に貢献したい。この会社で自分を成長させたい」という気持ちで入社します。
しかし、現実は3年以内に多くの方が退社します、それはなぜでしょうか?
<退社理由>
① 労働環境が劣悪(サービス残業、いじめ、長時間労働など)。
② 自分が考えていた仕事内容と現実があまりにもかけ離れている。将来に希望が持てない。
③ 自分の給料が現実の自分の仕事内容に比べると安すぎる。
④ 会社の雰囲気があまりにも暗く、組織も自分も単なる「歯車」にしか過ぎず、将来に自分を成長させることができない。
⑤ 他社からヘッドハンティングを受けた。
これらを自社に当てはめてみて、体質改善を図るべきです。
どうしたら従業員は辞めなくなるのか?
① 労働環境
・計画的に残業を止める。止めなければ人はいなくなります。
今までの残業代を残業しなくてももらえるように、業務の効率を上げる努力を全員でする必要があります。
*残業は、各種の報道のように、色々な弊害をもたらします
② 自分の思っていた仕事内容との乖離
・入社時、その後3年間で自分の目標設定と会社としての支援体制を確立し、常に見守っているという風土を築きます。
③ 給料が安すぎる
・不満の原因を話し合える仕組みを作ります。
給料は高ければ良いのではなく、仕事内容に対して給料がマッチングしていれば納得できます。
そのためには、会社の現在の状況や将来の見通しもきちんと説明し、個人の言い分も聞いてあげる双方向の「対話」が重要です。
*対話は、一方的ではなく、相手の話も聞いて、理解することです。
④ 社内の雰囲気が悪い
・会社全体の問題であり、まずは経営者の考え方を変える必要があります。
過去に何人もの人が辞めている現実を認めて、その原因を考えるべきです。
⑤ ヘッドハンティング
・「自分(経営者)の問題を素直に反省して慰留に努める」か「喜んで送り出す」かです。
ここは、「喜んで送り出しましょう」、そして残ったメンバーのことを考えましょう。
今回は、経営改善に重要な人の面、特に「辞めないために」を紹介しました。
次回は、個々のメンバーが「やりがい」を持って会社で仕事をするための「目標の設定」と「給料」の面を紹介します。
★ 経営は人に始まって人に終わる
★ 人の育成には正しい考えと時間・根気が必要
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