中小企業への支援策、次々と公表
政府は、2017年度補正予算と2018年度本予算ならびに税制改正によって、積極的に中小企業支援を行います。
政府のスタンスは明確です。
変革の意欲があり計画的に事業展開を行う企業は支援し、やる気のない「どんぶり勘定」の企業には市場からの撤退を要求しています。
各施策内容をよく理解して、自社で使えるものは積極的に使い、体質改善、業績向上を目指して下さい。
経済産業省の重点課題
平成30年度を含めた今後の中小企業向けの重点課題は次の3つです。
(1) 事業承継の推進
経営者の高齢化と後継者がいないことによる廃業が深刻な問題になってきています。
市場価値がある優良な企業が後継者がいないことにより事業を止めてそれにより取引先に影響がでてきています。
事業承継をスムーズに行うために、補助金、承継に関する税金や相談などの支援業務に関して様々な施策が織り込まれています。
(2) IT活用の拡大
中小企業は大企業に比べて「IT技術の利用」が遅れていますので、補助金による設備導入や、支援業務の施策を行います。
(3)人材不足への対応
少子高齢化により労働者の絶対数が不足しています。
更に産業構造の変化によって、市場が要求する人材の資質にも変化が生じています。
*全体的に人手不足であるが、業種によっては過剰になっている場合もあります。
また、人材が集まらないことによる「賃金の上昇」もあります。
これらを解消するために、「人への教育」「賃上げ」などに対して施策が検討されています。
税制改正
上記の重点課題に対応して税制の改正が行われます。
中小企業に関係するのは税制改正は次の4つです。
(1) 賃上げ減税
中小企業は賃上げ1.5%以上で賃上げ総額の15%を法人税から税額控除。
賃上げ2.5%以上で一定の人材投資も行えば賃上げ総額の25%を税額免除。
2018年度から3年間の時限措置。
(2) 固定資産税減税
中小企業が新規に導入した機械への固定資産税を自治体判断で現在の半額から全額免除を可能に。
(3) 事業承継税制
引き継いだ非上場株式の3分の2を対象に相続税の8割を納税猶予する現行制度を見直し、全株式を納税猶予とする。
2018年1月から10年間の事業承継に適用する時限措置。
(4) 企業交際費減税
中小企業が交際費の50%または800万円を上限に損金算入できる特例措置を2年延長。
ものづくり補助金
中小企業庁は2017年度補正予算で、中小企業・小規模事業者を対象とした「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業(ものづくり補助金)」で「1,000億円」を計上します。
補助上限を「1,000万円」として、3年ぶりに「1万社支援」(2016年度補正 :6,157件)になります。
2018年2月中に公募が始まる予定です。
また、これとは別に「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT補助金)」にも「500億円」(2016年度補正は100億円)が計上されます。
今回の特徴を示します。
企業間データ活用型の創設
複数の中小企業者が連携し、企業者間で「データ・情報」を活用し、連携体として新たな活動に取り組む場合、補助金を上乗せされます。
※3社連携の場合:A社・B社・C社それぞれに基本額の1,000万円の補助金が支給され、更に連携分として「200万円×3社分=600万円」が上乗せされます。この600万円は連携体内で配分可能です。
生産性向上支援の専門家の活用
生産性向上に効果的な設備導入を行うため、機械設備などの導入と併せて専門家を活用する場合に補助上限額を30万円アップ。
認定支援機関による採択後のフォローアップ体制の強化
申請時に認定支援機関との連携を要件とするとともに、採択後から事業終了後5年間のフォローアップを求め、事業の成果を見える化していきます。
法律・制度は知っている人のためにある
国や自治体などが支援のために様々メニューを用意していますが、それを知らないと注文することができません。
こういう時こそ、「経営支援の専門家」にお問合せ下さい。
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