経営者の皆さん、大きな環境変化の中で求める人材像を明確にしていますか?
AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの技術の変化、少子高齢化やグローバル化(国際化・多様化)などの社会的変化、人の幸せに対する思いの変化など、現代は大きな変革期に入っています。
また、変化の速さはこれまで経験がしたことがないスピードで進んでいます。
この環境変化の中で、企業が求める人材像は変化しています。
従業員の数が少なく、資金的に厳しい中小企業にとって「採用」は会社の存続に大きな影響を与えます。
経営者はしっかりとした考えで「採用」に取り組む必要があります。
企業を取り巻く環境変化のキーワード
現在の企業を取り巻く環境変化の主なものを示します。
AI(人工知能)時代
10~20年後に、国内労働人口の約半分にあたる職業が「AI」や「ロボット」で代替されるという予測があります。
人生100年時代
寿命が延び、それに伴い良い面や課題が多く表面化しています。
長寿社会に適合した社会システム、特に「健康に働く」ことの整備が急がれています。
健康経営
社員が身体的な面だけでなく、精神的な面も健康でなければ、企業の持続的な成長は見込めません。
また、「健康・ヘルス」が様々な形の事業を創出しています。
ウェルビーイング
「身体的、精神的、社会的に健康で豊かであること」を示します。
「超高齢社会(日本は65歳以上の方が27.3%*2016年9月)」を語る上での「健康寿命」「介護負担の削減」などと合わせて使われています。
働き方改革
残業時間の低減、子育て支援など、働く時間を少なくする動きが進められています。
当然、単なる労働時間の短縮ではなく、生産性を向上させた上での時間短縮が必要です。
時間だけ短くして、生産効率が変わらなければ企業は存続できません。
組織風土改革
組織の経営者や管理職、社員が持つ暗黙のルールや規範、土壌、文化といった「組織風土の改革」に多くの企業が取組みを開始しています。
新規事業創出
既存事業の売上の伸びがなくなったり、利益が減少したりした場合、既存事業に代わる「新規事業」を産み出す必要があり、多くの企業が挑戦しています。
新卒一括採用時代の崩壊
日本の多くの企業は新卒の一括採用を行ってきました。
しかし近年では、通年採用や中途採用、女性・高齢者・外国人の採用と、時期や対象が多様化しています。
企業が求める「人材」の変化
このような環境変化の中で企業が求める「人材像」とはいかなるものでしょうか。
日本経済団体連合会が2016年度に行った調査では、企業が採用選考活動で重視している上位の項目は次の通りです。
①コミュニケーション力、②協調性、③主体性、中小企業にも当てはまる内容と思います。
この項目が挙げられるのは10年以上前から大きな変化はないとのことですが、求められる内容が変わってきています。
変化は、企業自体が「生産性の向上」から「創造性の発揮」へと変わってきているからです。
企業は他社と異なる「強み」を持ち、その「強み」が社会・市場に受け入れられないと成り立たなくなってきています。
①~③の各内容がどう変わったかを紹介しますが、現在多数を占めると思われる「指示待ち人間」「マニュアル通りにしっかりと実施する優等生」は、採用されにくくなります。
私の事務所の行動指針である「自立と連携」、これが実施できる「人材」が求められています。
コミュニケーション力
●これまで
比較的限られた人間関係の中で相互理解する力
●これから
価値観の異なる相手とも相互理解し、双方向で学びあえる力
協調性
●これまで
ルールに沿い、周りと足並みをそろえて動ける力
●これから
多様性を尊重し、異文化を受け入れながら組織力を高める力
主体性
●これまで
チームに与えられた課題を率先して実施する力
●これから
自ら課題をみつけ、チームを作って解決する力
関連情報:人をほめる際の原則
人はほめられて伸びると言われていて、実際そうだと思います。
ほめられると「やる気・意欲」がでて、仕事や勉強の質も向上します。
ただし、この「ほめ方」は難しいです。
原則①:誠実な気持ちでほめる
形式的な「ほめ言葉」は、相手から簡単に見透かされてしまいます。
いい加減な気持ちで大きなことをほめるより、小さなことについて本気でほめる方がずっと効果的です。
原則②:人格より行為や事実をほめる
相手の人格そのものより、相手の行為や事実をほめる方が、ほめ言葉が具体的になって伝わります。
「あなたはとても美しい」「あなたは人格的に素晴らしい人だ」と言っても違和感を感じると思います。
「あなたの髪の毛はとても美しい」「あなたのお客様と接する言葉使いは素晴らしい」「(書架を見て)ものすごい読者家かですね」・・・の方が伝わります。
細かい注意力で相手の良いところを探せば何か見つけることができると思います。
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