コンパクトシティー ~人口減への対応~
前回、少子高齢化による人口減少、東京を中心とした都市への人口移動、これによる地方での「空家」「所有者不明の土地」の増加の問題と最近の政府などの動きを紹介しました。
今回は、この人口減少に伴う「街づくり」について紹介します。
ポイントは、「集中(コンパクト化)」「効率化(有効利用)」です。
コンパクトシティー
コンパクトシティーとは、人口増加の時代に広がった市街地を人口減少社会の身の丈にあったサイズに戻そうというものです。
この概念は以前から提唱され、実際に取り組んでいる自治体もあります。
ここ数年は、人口減少及び高齢者の増加により、検討を急がなければならない事態になっています。
なぜコンパクトシティーが必要か?
コンパクトシティーが必要な理由として次の3点があります。
①.高齢者の利便性の確保
②.上下水道、電気、ガスのインフラの整備・改修
特に水道管の多くが更新が必要な時期になっています。
③.ゴミ収集などのコスト低減
高齢者を便利な場所に
生活インフラ(買物・医療・福祉・娯楽など)を交通の便が良い駅の近くに集中させ、その近くに高齢者用の居住環境(マンション、介護施設)を整える考えがあります。
郊外の一軒家に高齢者だけが居住していると、買物や通院の足に問題があり、また、急病やケガへの対応も遅れてしまいます。
現在も駅の近くに「高齢者向けのマンション」が見られますが、今後は更に「ワンルームマンション」が増えることが予測されます。
郊外の空いた一軒家を子育て世代に
高齢者が、駅の近くなどの便利の良い場所に移転して空いた一軒家は、子育て世代用に改装して、売家や賃貸住宅にすることも考えられます。
収入が比較的少ない若い世代の手が届く価格にできれば広がりが期待できます。
九州の状況
2017年3月末時点で、全国で「106都市」で、コンパクトシティーにつながる「立地適正化計画」の具体的な取り組みを行っています。
九州・沖縄では「11都市」が計画の作成・公表を行っています。
福岡県では、北九州市、久留米市、飯塚市、行橋市です。
北九州市は、都市機能誘導区域(店舗、病院、役所などを集約)として、小倉都心や黒崎副都心などの12地域を選定し、大型商業施設、市役所・区役所などの市の拠点、病床200床超の病院や大学を誘致する計画になっています。
また、居住誘導地域(住宅を誘導する)は、約9500ヘクタールの市外地区域のうち、約5600ヘクタールを選定し、区域内への転入を支援する制度が盛り込まれています。
人口減少社会において、街のコンパクト化は不可欠です。
住民の協力を得ながら、適正な規模に街を作り変えていく動きが今後さらに進められていくでしょう。
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