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(経営改善の現場から)商品を絞り込む

現在実施している「経営改善」案件の中で、多くの商品(サービス)を扱っている企業があります。この企業を高収益に変革するためには、商品の絞り込みを行う必要があります。

今回は「商品を絞り込む」について紹介します。

中小企業にとって、まして経営不振に陥り、資金が乏しくなっている企業では、「選択と集中」で力を入れる商品を絞り込む必要があります。このときに、「どうやって絞り込むか?」の基準(考え方)を決めなければなりません。

 

中小企業では使いにくいPPM

10年以上前に、勤めていた大手企業の事業部の経営会議の際に、「ボストン・コンサルティング・グループ」が開発した「製品ポートフォリオ分析(PPM)」を行い、事業部で扱っている製品の評価を行ったことがあります。

市場成長率を縦軸に、市場占有率を横軸に取り、四つの領域に自社の商品を当てはめて、今後の事業展開を検討する手法です。

「問題児」の領域の商品(製品)

市場の成長は見込めるが、現時点では自社の市場占有率(シェア)は低い状態です。今後シェアを伸ばすことができれば「花形」に移行できますが、失敗した場合は「負け犬」になり撤退しなければならなくなります。

「花形」の領域の商品(製品)

市場の成長率が見込まれ、シェアも高い状態です。シェアを維持するには更なる設備投資や人員増の資金注入が必要になります。

「金のなる木」の領域の商品(製品)

市場の成長が緩やかになり、高いシェアを持っているため、新しい投資があまり必要でないので、高利益が見込める領域です。ただし、永久に続くわけがないので、ここで得た利益を「問題児」や「花形」の投資に当てる必要があります。

「負け犬」の領域の商品(製品)

低成長、低シェアであり、いずれは撤退しなければなりません。

これを図で表すと次のようになります。各●は、個別商品(製品)を表し、大きさは売上規模を示します。

<理想の姿>

資金源となる「金のなる木」の商品(製品)を幾つか持ち、ここから生み出される資金を「問題児」に投資して、成長率が高いうちに「花形」に育て、「花形」は将来「金のなる木」に移行し、次の資金を生み出します。「花形」に育たない「問題児」や「負け犬」は、早い段階で撤退しなければ損失が大きくなります。これらの判断を迅速・的確に行う必要があります。

 

中小企業での商品選択の考え方

PPMの考え方を現在実施している企業の経営改善に当てはめると無理があります。確かに以前勤めていた会社の事業部では当てはまり、振り返れば、そこで考えたようになっています。残念ながら私が関係していた製品は「問題児」から「負け犬」になり撤退してしまいました。

そこで、経営コンサルタントの「一倉定」先生の著書に書かれていた「商品分類」で考えてみました。

この考えは、中小企業の商品選定では当てはまります。

昨日の商品

発売後年数がたって老齢化し、将来を見込めない商品です。売上高はまだ多額ですが、傾向は下降線か、どんなによくとも横ばいしか期待できません。最大の原因は「お客様の要求が少なくなってゆく」ことで、収益性は低くなっていきます。それにもかかわらず、過去の栄光が頭にあり、売上高を回復しようとして多額の追加資源を投入してしまいます。この商品に対しては、販売促進活動を一切やめて、成り行きに任せ、機をみて「切り捨て」を行う必要があります。

今日の商品

これは、現在の自社の収益の最も多くの部分を生み出している主力商品です。売上高は多額で、安定していて、収益性もマアマアです。どの企業でも、最も高額で良質な資源を投入しています。しかし、その対応には問題があります。販路は確立し、安定的な売上が期待できるし、供給体勢も整備されているので、会社の中の偉い人が、寄ってたかって面倒をみなくとも、売上が落ちるわけではありません。この商品に対する正しい態度は、現在の得意先を温存することだけにとどめ、様子を見ながら投入している資源を減らしていくことです。あまり遠くない将来に「昨日の商品」になる運命を考えると、貴重な資源を投入することは意味がありません。

明日の商品

比較的新しい商品で、現在は会社の収益には僅かの寄与しかしていませんが、将来性のある商品です。この商品に関する企業の一般的な態度は、供給体勢や販売体勢が整っていないため、あまり力を入れない場合が多いです。これは全く間違った態度です。正しい態度は、新規の資源、しかも質の良い資源を優先的に投入することです。最重要商品として、社長が直接指導し、営業は優秀なセールスマンに担当させ、製造部門では治工具整備も外注も最優先にしてシャニムニ造ることです。

不必要な特殊品

ごく限られた用途または得意先しか持たなく、収益性の悪い商品です。こうした商品は、メーカーまたは商社が注文をとりたいばかりに、間違ったサービス精神による特色化を狙ったものが多く、注文は不安定で、売上が増加することはないものです。不採算はハッキリしていますが、温存されているケースが多くあります。どのような事情があるにせよ、成果をあげる態度は、「切り捨て」でなければなりません。

経営者の我の申し子

今はあまり売上はないが近い将来に、大きな収益をもたらしてくれるはずの商品でありながら、いつまでたっても、その「近い将来」が来ない、売上が伸びないという商品です。自社、特に経営者の評価は高いですが、お客様の要求に合わないことが分からずに、売れないはずがないと思い込んでいる「ひとりよがりの商品」です。この商品に対する正しい態度は「捨て去る」ことです。

シンデレラ

優れた収益性と将来性をもちながら、それが分からずに、「まま子」扱いを受けている商品です。それにもかかわらず、売上高はかなりいい線にいっていますが、誰も面倒をみてやらないために、伸びるべき売上が伸びずにいます。社内に、気づかない「シンデレラ」がある可能性がありますので、商品を調べ直してみる必要があります。目のつけどころは、「重視していない商品で、販売努力はしないにもかかわらず、根強い需要があり、いつも供給が間に合わなく、収益性は意外なほど良い」という特性を持った商品です。発見したら、良質な資源を投入する「重点育成商品」に設定することにより、意外な程の売上の伸びと収益の増大が得られます。

 

上記の「6つの商品」を自社に当てはめて考えてみて下さい。上記の表で、「企業の一般的な態度」と「成果を高める態度」を比べてみると、全く逆の態度であることに気づくと思います。大部分の企業では、儲けたいという気持ちで行動している事が、実は儲からないように、さらに儲けを落とすように行動していることになっています。

「成果を高める態度」で示されていることは、

収益性が高くて将来性のある商品に力をいれる

という「常識的」なことです。

常識的に考えられないのは、「個々の商品だけを見て、全体を見ることができない」点にあります。

全体的に見るには、自社だけでは限界がありますので、経営コンサルタントの力を借りて、見直すことも必要ではないでしょうか。

 

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