(経営改善の現場から)お客を絞り込む4つのポイント
前回、中小企業の戦略として「商品を絞り込む」について紹介しました。
今回は「お客を絞り込む」という観点で考え方を示します。
長年経営を行っていると、いつの間にかお客様の数は増えていきます。そのお客様の中には、利益を多く与えて下さるところもありますが、仕事が多い(売上が多い)割に利益が少ないところもあります。
また、お客様の事業がうまくいっていなくて、場合によっては倒産してしまう企業と付き合っていて、共倒れになる可能性もあります。弊社にも建設会社で多額の工事を請け負ったのに回収できないうちに発注元が倒産して相談にきたケースもあります。
そのため、自社のお客をどうするかを常に考えて行動する必要があります。
ABC分析=パレート分析でお客を知る
まずは、ABC分析で自社のお客を整理してみましょう。これにより、多くのことが分かります。
ABC分析の4つのポイント
上記のABC分析から、次の点を検討してみて下さい。
1社で総売上の比率が高すぎれば危険
1社に依存しているとその会社の業績や発注態度によって、自社の存続が左右されます。
1番の売上先は「30%以下」にして、20~30%のお客を3社程度持つことが理想です。
また、その3社は、業界が違うことが望ましいです。北九州の精密機械部品を製作している企業は、強みのある技術を「自動車部品」「電力部品」「住宅部品」に展開しています。それも各業界のトップの1企業です。各業界の1企業にしか供給していないので、お客は安心して最先端の情報を提供することができ、新製品開発でも一歩先をいくことができます。ここで得た最先端技術を他の業界にも形を変えて供給することができます。
「下位5%」のお客は切り捨てる
「下位5%」の部分は、お客の約50%程度になりますが、これらのお客のほとんどが自社にとって先がないところと考えた方が良いです。この半数のお客に営業のパワーを向けるのであれば、切り捨てて優良お客にパワーを向けた方が得策です。
お客は全部リストアップする
下位のお客の中には、これから伸びる企業や協業の可能性があるところも含まれている場合があります。そのため、売上が少ないからといって「その他」と一括りにせずに、リストに明記して、個別に評価する必要があります。
粗利額・粗利率も評価する
売上が大きくても粗利率が低いお客がある可能性もあります。単に売上だけを見るのではなく、粗利額・粗利率も把握して、価格決めや仕入れや製造の原価を見直すことが、利益を上げることになります。
コロナ禍の影響で経営状態が悪化しているお客様もあるかと思います。自社内部だけを見るのではなく、常にお客様の状況を把握して、お客様の影響を受けにくい企業体質にすることが重要です。
お客の状況、市場動向を含めた全体的に見るには、自社だけでは限界がありますので、経営コンサルタントの力を借りて、見直すことも必要ではないでしょうか。
関連記事
-
-
売上を上げ続ける戦略(3)ターゲットの明確化。誰にでも売るというのは駄目!!
これまで紹介しています弊社が提供している『売上向上支援パッケージ』は、販売の方法 …
-
-
優れた社員を育てるには「期待する」
企業の経営資源として「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」と言われています。 中小企業 …
-
-
経営戦略(1)経営戦略とは?
(本記事は、2015年10月に書いたものを2020年10月に一部修正を加えていま …
-
-
企業経営は「儲ける・儲け続ける」が最優先
5年ほど交流のある、関東の行政書士の「上山雅子」さんから、新年の挨拶とともに、出 …
-
-
預金と借金の適正額・自宅の守り方(3)担保が付いた自宅は?
連携している(株)事業パートナーの記事を参照して紹介しています。 ★事業パートナ …
-
-
セグメント別の業績分析・管理で利益向上を
各企業で毎年あるいは四半期(3ケ月)、月単位で業績を集計して、経営の状況を把握し …
-
-
経営者の皆さん、大きな環境変化の中で求める人材像を明確にしていますか?
AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの技術の変化、少子高齢化やグ …
-
-
人体(肉体・精神)×介護×IoTテクノロジー *尿は漏らしたくない!!
歳を重ねていき「介護」という文字がチラつくころ、「尿漏れ」「便漏らし」、そして「 …
-
-
生きるための計画の考え方
経営計画はなぜ必要なのか? 夢の達成? 目標の達成? 会社資産増加? 個人資産増 …
-
-
経営計画の策定(4)自社の銀行での格付けを知ろう
銀行は、お金(資金)の貸出先企業ごとに格付けを行って、それぞれの対応を決めていま …
前後の記事
- 前の記事
- 『売上向上支援パッケージ』の内容・進め方
- 次の記事
- (経営改善の現場)運転資金の借入の考え方?