企業の倒産原因(第2位)ゆでガエル倒産
当社では、現在、幾つかの企業の「事業再生」「経営改善」に関わっています。これらの企業は、最近は赤字が続き、更に債務超過(財産よりも借金が多い状態)に陥り、このままの状態を放置すると倒産に至る経営状況です。そのため、金融機関等のご協力を得て、何とか生き延びるように、財務面や事業面の対策を行っています。
企業がどういった理由で「倒産」していくのかを把握することは、「事業再生」「経営改善」の取組みに参考になります。
前回、倒産原因の順位を示し、第1位の「販売不振」について紹介しました。
今回は第2位の「既往のしわ寄せ」について紹介します。
「既往のしわよせ」とは
経営状態がだんだんと悪くなっているにもかかわらず、何も考えず、対策も行わず、「何とかなるだろうと」様子をみているうちに倒産していまうことを言います。別名「ゆでガエル倒産」と言います。
これは、相談に来られた会社の10年の売上の推移です。7年前から売上が減少しているにもかかわらず、手を打たず、気付いた時は自力での改善ができない状態に陥っていました。
まずは現状を見て下さい
次の場合は、直ぐに、当社にお問い合わせ下さい。異常に気付いていないかもしれません。10年分の決算書の売上や利益をグラフ化して眺めて下さい。何かがわかります。
1 2期続けて赤字になっている
2 2年続けて売上が減少している、右肩下がり
3 売上の変化はないが、利益が減少している
4 顧客さんからのクレームが増えている
5 社内の不良率が高くなっている
6 社員が元気がない、辞める人が増えている
7 会議では、社長ばかりがしゃべっている、従業員の反応が低い
8 DX、BPO、GAFA、RPA、SDGs、ESG、PB・・・意味がわからない
3期分の決算書と面談によるヒアリングで、経営診断を行います。
既往のしわ寄せの原因
既往のしわ寄せには外部要因、内部要因、幾つもの原因があります。
1 業界全体や取り扱っている商品の衰退(外部要因)
売上が減少しているということは、扱っている商品・製品が時代に合っていない可能性があります。状況によっては、ビジネスモデルの変革(事業再構築)が必要な可能性があります。
2 少数のお客に頼っている(外部/内部要因)
頼っているお客が経営不振に陥ったら、場合によっては連鎖倒産になってしまいます。また、お客さんが他社や海外からの調達に切り替えるかもしれません。
3 継続的な値引き要請への対応(外部/内部要因)
自社の生産性向上などでコストダウンが値引き額以上にできていれば対応もできますが、設備の老朽化による生産性の低下や人件費のアップなどでコストが上がり、継続的に利益が減っている場合は要注意です。
4 人材が育っていない(内部要因)
社員の教育を怠っていると企業は衰退の一途です。また人材が育っていないと、例えば成績を上げていた営業マンが辞めたら、その代りがいないとあっという間にお客さんは他社に流れてしまいます。
企業では、人に依存するのではなく、仕組み(組織)で動けるようにすることが大事です。
5 社長の成功体験(内部要因)
社長の成功体験は、悪い影響を与えることがあります。時代遅れの考えでは、現在の課題を解決することができない場合もあります。経営者は常に新しい情報を仕入れて「ゼロベース」で考えることが重要です。
3K「経験、勘、気合(根性)」は通用しない時代です。
「既往のしわ寄せ」の対策:意識を持って状況把握・先手の対策
経営はスピードが重要です。早く現状を把握して、早く対策を打つことが必要です。
「既往のしわ寄せ」は、現状を把握できていないことから始まります。
当社が現状把握でお勧めする手法は、次の3つです。
(1)月次決算(試算表)を早く行う(遅くとも翌月の5営業日まで)
(2)これに基づき、売上・利益の月次トレンドに表し、その傾向から危険度を判断して対策を打つ
(3)6ヶ月先までの資金繰り表を策定し、資金面の不安をなくす
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