倒産が見えたら 銀行は「リスケ」を認めない
銀行に借金の返済を一時的に止めてもらったり、減額してもらったりすることを「リスケジュール(リスケ)」と言います。
この「リスケ」を銀行に認めてもらうためには、「経営改善計画」を策定して了承してもらう必要があります。
前回は、「リスケ」で認められる経営改善計画は3つの記載が必要と説明しました。
(1)経常収支の赤字をいつ脱出できるのか?
(2)債務超過をいつ解消できるか?
(3)何年で借金を全額返せるか?
銀行の現実的な視点
銀行の現実的な見方が、現在の財務状況、事業状況で「リスケ」を実施したら、経営を継続できるかという点です。
経営改善計画で、いくら「長期的な改善ができる」と説明されても数ヶ月で手元資金がなくなってしまうようでは銀行として「リスケ」を認めるわけにはいきません。リスケの申し出を行うと銀行は、「直近の試算表(または決算書)と資金繰り予定表」の提出を要求します。
銀行が「リスケ」を認めるのは、
『元本の返済停止などを実行したら資金繰りがまわる』ということです。
元金の返済を停止した状態で、当面(6ヶ月)の「資金繰り予定表」で各月末で現預金が残ることです。
そのためには、2つの要件が必要になります。
(1)経常利益が出ること
(2)経常利益が一時的に赤字になっても持ちこたえる現預金があること
元金の返済を止めても赤字が継続したら倒産してしまいます。それがわかっていたら銀行は当然リスケに応じません。
(1)経常利益が出ること
今回のコロナによる影響で一時的に売上が落ちて赤字になっていても、コロナが終息して売上が基に戻るようであれば「リスケ」による再建は可能と判断されます。
それを実証するには「正常収益力」を算出して、これが黒字になることが必要です。
例えば、コロナの影響を受けない状態のときの損益計算書を検討して、通常状態では利益が出る事業であることを確認します。
これまで請負った中には、コロナの影響を除外しても利益を出せない事業構造になっていた企業もあります。その場合は、経費の削減などで黒字になることを示す必要があります。
(2)経常利益が一時的に赤字になっても持ちこたえる現預金があること
前回の記事で「リスク」を申し出る際は、手元になるべく多くの資金を持つことを説明しました。
季節変動がある事業の場合、売上が少なく赤字になる月が出る可能性があります。その変動に耐えられる資金が確保できていることが必要です。
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