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リスケの出口はどうなるか・先を意識しておく

これまで、銀行に借金の返済を一時的に止めてもらったり、減額してもらったりする「リスケジュール(リスク)」について説明しました。

リスケについてはこちらをご覧下さい

この「リスケ」を銀行に認めてもらうためには、「経営改善計画」を策定して、銀行に了承してもらう必要があります。

経営改善計画への記載内容はこちら

 

経営改善計画の実行(モニタリング)

経営再建のための「経営改善計画」は、実行して、改善効果がでてこそ価値がでます。

経営改善計画には、

・事業に影響がない財産の売却

・不採算事業の縮小、撤退、場合によっては事業譲渡

・役員報酬を含めた経費の削減、場合によっては人員削減

・経費管理の改善

・販売戦略・市場戦略

・新事業・新商品の改善

・組織改革、人材育成  などが示されています。

経営改善計画の実施は長期間になります。早くても3年、通常は10年以上、改善を継続して推進しなければなりません。その間、社長は銀行等への定期報告もあり、緊張の日々が続きます。

 

リスケの出口を理解しておく

経営改善期間の中で、計画通りに進まず、先が見えなくなって不安になることもあるかと思います。ここでは、先を見通すという目的で「リスケ」の出口について紹介します。

「リスケの申立て」の段階から、将来どのようにリスケ状態から脱出するかについてある程度の知識を持つことは、申立て後の金融機関との交渉においても役立つことが多くあります。

「リスケの出口」には、金融正常化(借金の返済が順調に進む)から、債権放棄(銀行が借金の権利を他に移す)、民事的な再生処理破産などの法的な整理まで様々なものがあります。

多くの経営者は「リスケの出口」がいかなるものについて全く知らないまま申立てを行います。当面の資金繰りに困っている経営者にとっては、将来のことよりも、今の窮地を脱出する方法としての「リスケ」を認めてもらうことに頭がいっぱいになることは理解できます。

経営改善計画を認めてもらって「リスケ」が実行されると一安心して真剣度が落ちる場合もあります。どんなに優秀なコンサルタントが付いて計画を立てても、「リスケ」を実行した企業のほとんどが計画通りに行かないのが実態です。

そのため、うまく行かなかったらどういう道があるのかを理解しておくことは、リスクを回避・低減する観点でも重要なことです。

次に「リスケの出口」を図に示します。

 

(1)約定の返済条件に戻す

「リスケ」というのは一時的に返済条件を変えることなので、経営改善計画の実行によって経営状態が改善され、最初に約束した返済条件に戻すことが理想です。しかし、ほとんどの事例では、元の約定返済額に戻せるほど収益力を回復することはなく、そのため、返済条件を元に戻すことは希なケースです。

(2)借換え正常化

「借換え正常化」とは、経営改善計画の実施終了後に、最長で10年間の返済期間とする融資契約を行うことです。経営改善計画を実行して、経営を再建して、10年間で全部の借金を返済できる収益力になることです。

以前の記事で「実抜・合実計画」の説明をしましたが、この時に、銀行が認める条件として、10年間で借金を完全に返済する計画であることを示しました。

実抜・合実計画についてはこちら

もちろん、借換え融資の返済期間が10年よりも短ければ、銀行は喜んで借換え融資に踏み切ってくれます。

(3)DDS/協議会版DDS

経営改善計画の実行により、上記の(1)(2)の出口になれば、企業も銀行も満足し、リスケは成功したという結果になります。

それでは、(2)に示した10年間で借金を全額返す見込みが立たない場合は、あまり使われていませんが、DDS(Debt Debt Swap:デッド・デッドスワップ)の手段が候補としてあります。

DDSは、リスケ中の借金の一部について、他の融資と比べて返済の優先順位を下げる契約を結ぶことで、この借金を資本としての性格を帯びさせることを言います。この特殊な借金は「資本性ローン」または「劣後融資」といいます。

下図のように、銀行からの借入金「6,000万円」のうち、「3,000万円」を資本性ローンに変更して、資本金と同じ扱いにしたら、「1,000万円の債務超過」から「2,000万円の資産超過」になります。

資本性ローンは、「ローン」なので、契約した初年度は上記の場合「3,000万円」が資本扱いになりますが、10年契約の場合は、翌年は300万円が長期借入金になり、「2,700万円」が資本扱いになります。そのため、毎年300万円の利益(繰越利益剰余金)を出していく必要があります。

このDDSは、企業側、銀行側で次のようなメリットがあります。

<企業側のメリット>

・実質的に債務超過が改善されるので、再生の可能性が高まる。

・結果として、長期の安定資金を確保することができる(資金繰りが安定する)ので、再生の可能性が高まる。

・借入金の返済能力が向上するため、他の借入金についても不履行になる可能性を低減することができる。

<銀行側のメリット>

・実質債務超過を改善することによって、債務者区分のアップを図ることができる可能性がある

・債権放棄と違って、債務者(企業)は返済義務を負う点には変わりないため比較的容易に実行できる可能性がある

・いずれ元本の回収も可能であり、劣後化している間も利息を受け取ることは可能である

・コベナンツを課すことにより、経営・財務など、再生に関与することも可能である

*コベナンツ:契約書に記載することができる一定の特約事項。「情報開示義務」「財務制限条項」「担保制限条項」など。

DDSは債務超過を解消する方法としては有効な手法ですが、実際の適用は難易度が高いです。メイン行が借入金のほとんどを占めている場合はメイン行の主導で可能ですが、複数の銀行が関係していたり、代位弁済で保証協会が絡んでくる場合は調整が難しくなります。

協議会版DDS

中小企業再生協議会版DDSは、協議会が策定支援する再生計画において「十分な資本的性質が認められる借入金(資本性ローン)」を活用することによって、中小企業の事業再生の円滑化を図る目的で導入されました。

協議会が再生計画の策定支援を行った中小企業に対する融資に関しては、貸出期間・適用金利・償還順位などの一定の条件を満たせば「資本性ローン」に該当するとしています。

既存の融資を資本性ローンに転換することによって、過大な借金を抱えている中小企業の体力を強化し、再生支援を図ることができるようになります。

 

(4)~(7)の出口

この場合は、経営改善計画が予定通りにいかなくて、借金の返済ができなくなった場合です。

これらについては、別途、紹介します。

 

 

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