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期限の利益を失った場合はどうなるのか?

期限の利益を失うとは?

期限の利益とは、「一定の期限が到来するまで返済をしなくてもよい」という債務者(借金している者)の利益を言います。

例えば、今日が11月1日で来年の10月31日が、1,000万円の支払い期限であるとします。そうすると、債務者としては来年の10月31日までは1,000万円を支払わなくてもよく、その間に1,000万円を運用してより利益を得ることもできます。

このように、「今すぐに支払わなければならないこと」に対し、「将来に支払えばよいこと」の方が、支払う側の債務者にとって「利益(メリット)」であると考えられます。このことをもって「期限の利益」と呼びます。

そして「期限の利益を失う」というのは、将来に支払わなければよかったものが、今直ぐに支払わなければならなくなったということです。

先の場合では、来年の10月31日の前、例えば5月31日に期限の利益を失ったら、5月31日に直ちに1,000万円を支払わなければならなくなります。

 

リスケジュール(リスケ)ができなくなった場合

経営が苦しくなった際に銀行にお願いして元金の返済を一時的に止めたり返済額を減額してもらうなどの条件変更を「リスケジュール(リスケ)」といいます。

リスケについてはこちら

これまでリスケが銀行に了承された場合について主に紹介してきました。リスケが継続している場合は、期限の利益は失われませんので、直ちに借金の全額の支払いを言われることはありません。

財務状況が悪い、事業の将来性がないなどの理由で銀行がリスケを了承しない、あるいはリスケの実行中であるが払うべき利息も払えなくなった場合、「期限の利益を失う」ことになり、直ぐに残っている借金の全額を支払うように要求されます。

「支払え」と言われてもほとんどの場合は支払うことができません。

支払えない場合に銀行がとる手段を次に示します。

 

遅延損害金の加算

期限の利益がなくなったら、借金が全額返済まで、その借金額に「遅延損害金」がかかってきます。遅延損害金は、個々の契約によって違いますが、「10~15%」に及びます。

遅延損害金は他の借金と同様にすぐに支払わなければならないわけではありません。法律上は支払うべきですが、支払えないので、支払いは先延ばしになり、銀行などの債権者も先延ばしに応じざるを得ません。ただし、時間が長くなるほど遅延損害金は増えていきます。

 

預金口座の凍結

お金を貸している銀行は、債務者の口座を凍結し、口座に残っているお金を借金の一部と相殺します。それを防ぐには、期限の利益を失う場合に、借金をしていない他の銀行に預金を移しておく事前対応が必要です。このため、解約手続きに手間と時間がかかる「定期預金」は経営が順調な際も行わないことをお勧めします。

 

代位弁済の請求

信用保証付きの融資については、銀行は信用保証協会に代位弁済を行います。信用保証協会が債務者に代わって銀行に借金を支払います。その結果、債務者企業は信用保証協会に借金を返済する立場になり、返済方法については信用保証協会と交渉することになります。

 

抵当権の実行

次に銀行は抵当権の実行を行ってきます。定期預金担保は相殺になり、株式担保は売却して売却額を返済に充当します。

不動産の場合は、任意売却するか競売にするかの検討になります。一般に任意売却の方が多くの回収を見込めますので、銀行は所有者である債務者企業などと話し合い任意売却を目指しますが、状況によっては強制執行、つまり競売になることもあります。

難しいのは、抵当権実行で店舗や工場などといった事業用不動産に抵当権が付いている場合です。債務者企業としては、これを代替する手段がなければ、事業継続が危ぶまれるからです。銀行は少しでも早く売却して回収したいですが、通常は不動産売買には時間がかかります。銀行との交渉などで時間を稼ぎ、その間に代替手段を講じるなどの対策を練ることになります。少なくとも売却が実行されるまでは事業継続は可能です。

 

連帯保証人への請求

企業の資産で借金の返済ができない場合は、連帯保証をしている社長などの個人資産に手が付けられます。現預金は当然で、抵当権が付いていない自宅など全財産に取り立ての対象が広がります。

自宅については、経営不振に陥りリスケが必要になった場合を想定して、「所有者の変更」や「セール&リースバック」などの事前対応を行うことをお勧めします。

自宅の守り方の一例はこちら

 

期限の利益を失っても直ぐに倒産はしない

以上のように期限の利益を失うと、債務者企業はいっぺんに厳しい状況に追い込まれます。多くの経営者がこの段階で事業継続をあきらめ、倒産に至るのも事実です。しかし、期限の利益が失われても、経営者が再建の意思を持っていて、倒産の手続きを取らなければ倒産にはなりません。

破産や倒産についての意思決定は、原則として、経営者の「専権事項」であって、銀行が決めることではありません。銀行口座が凍結されようと、事務所や工場の事業資産が差し押さえられようと、必ずしも破産申立てなど倒産手続きを開始しなければならないわけではありません。

期限の利益を失っても再建した企業も多くあります。「経営者の強い意志」が再建にとって最も重要ですが、これが最も厳しく、銀行などからのプレッシャーに負けて気持ちが折れて倒産を選択する経営者も多くいます。

深刻な状況になる前にまずは当社にご連絡下さい。初回の相談は無料で対応します。

 

 

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