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何のために事業再生を行うのか?目的とゴールの設定

これまで、経営に行き詰まった際、特に銀行に借金を返済できなかった際の対応方法や債務(借金)整理について紹介してきました。

返済を待ってもらうリスケジュールについてはこちら

債務整理の種類についてはこちら

これからは、事業再生、特に「債務整理を私的整理で行う事業再生」について紹介します。

 

事業再生の目的・ゴール

最も大事なのが、何のために、誰のために、事業再生を実施して、最終的にどんな姿を実現したいかを明確にすることです。事業再生に取り組む誰しもが初めての経験であり、苦難の道を進まなければなりません。その道を歩み続けるためには「強い信念」が必要です。その信念を維持するためにも「何のために、誰のために、どうしたいか」を明確にする必要があります。

・自分(社長)や家族がどう生きていきたいのか?

・事業をどうしたいのか?続けたいのか、やめたいのか、譲りたいのか?

・従業員及びその家族をどうしたいのか?

・取引先をどうするのか?

特に自分がどう生きて行きたいのかが重要です。従業員は働けなくなって一時的に生活が苦しくなるかもしれませんが、再就職することが可能です。社長は、借金を抱えたまま就職するのはほぼ不可能です。自分で現状を打破していくしかありません。

この「事業再生の目的とゴール」を決めないと、どの手法で事業再生を行うかを判断することはできません。

 

事業再生の条件

事業再生ができる条件は2点です。

1 再生させる「価値のある事業」があるかどうか

2 その価値ある事業で「利益を出して資金繰りが回ること」

現在実施している事業が、社会的に必要なものであるとか、市場で多くの販売が期待できるものであることが必要です。その次に、その「価値ある事業」で利益を出すことができることで資金繰りが回ることになります。資金繰りが回れば、打つ手は出てきます。状況によっては、「利益が出る価値ある事業」を切り出して第二会社に移して、借金を元の会社で処理する方法も選択肢としてでてきます(第二会社方式)。

*第二会社方式:別の記事で紹介します

 

事業再生の進め方

事業再生の一般的な進め方を示します。事業再生は個々の案件の状況(借金の額、事業の内容、個人資産の状況など)によって進め方が変わりますが一般的な流れを示します。

【1】経営状況の把握

まずは、苦境に陥った原因を突き止めることです。そのためには現在の状況を正確に把握することを徹底的に行います。

多くの企業では、まずは、財務面と事業面を行い、必要に応じて法務面や労務面などの調査(デューデリジェンス:DD)を行います。

 

財務DDの主要点

財務DDで重要な観点は、「実態バランス」と「正常収益力」です。

(1)現実に合った「貸借対照表」の算出(実態バランス)

中小企業の場合、銀行や得意先に経営状況をよく見せようと細工をしている場合があります。

・回収が不可能になっている売掛金の計上

・架空の在庫の計上、売れない在庫を計上  など

また、持っている財産(資産)の中でも、土地や株式・ゴルフ会員権など、帳簿に示されている価値よりも下がっている場合もあります。

これらを調べて、現在の価値に直します。

また、この財務DDで他の重要な点は、借入金や担保の状況を明確にすることです。特に、決算書などに示されていない借金(簿外債務)があることがありますので注意が必要です。

(2)現在の稼ぐ力(正常収益力)

中小企業の「損益計算書」の中には、

・架空の売上の計上

・減価償却費の未計上

・妥当でない役員報酬

・節税対策のための生命保険  など

があり、真に稼ぐ力(利益)が不明確になっている場合があります。

損益計算書の売上、各経費を精査して、真の姿を算出します。この真の姿を使って、「借金が何年で返済できるか?」などの検討を行います。

 

事業DDの主要点

事業DDでは、外部環境(市場・顧客・競合先の動向:3C分析、社会・政治情勢の変化など)と内部要因(会社の資産である保有技術や人材など)に分けて調査します。

外部環境では、調査で抽出した内容が自社にとってチャンス「機会」になるのか、不利な状況「脅威」になるのかを判断し、また、内部要因では、競合先と比べて優位な点「強み」と「弱み」を検討します:SWOT分析

3C分析とSWOT分析はこちらの記事を参考にして下さい

この事業DDから、事業が上手くいかなくなった原因を検討します。この原因が後に策定する事業計画の実施内容につながっていきます。

 

【2】再生手法の決定

上記で現状を明確にした上で、どのような再生手法をとるべきかを検討します。内容によっては「運動療法」で良いのか、「投薬治療」が必要か、さらに「外科手術」が必要なのかを検討します。

再生手法は、幾つもの手法があり、個別案件によって最適な進め方を決めていきます。

*再生手法については次号で紹介します

 

【3】事業計画の策定

上記で再生手法を決定したら、先の現状調査も含めて事業計画を策定します。これは事業再生のための「実施内容(アクションプラン)」と今後3~5年の売上や利益などの「数値計画」をまとめたものです。

この計画の中には、借入金の返済計画もまとめて、銀行などに示し、了解を得る必要があります。

 

【4】再生計画の実施

先の「事業再生の条件」で示したように、再生計画の実施では、「利益を出して資金繰りを回す」ことが必須になります。

そのためには、最初の段階では、「資金(キャッシュ)の流出」を防ぐ必要があり、そのため、銀行と調整をして「元金の返済を止める:リスケジュール」ことを実施したり、経費の削減を行います。

また、状況によっては、人員削減を伴う大幅なリストラ(事業の再構築)を行う場合もあります。

また、計画の進捗については、銀行などの関係者に定期的に報告することも要求されます。

 

事業再生をやり抜くには社長の強い意志

事業再生に取り組むには、最初に示したように「目的とゴール」を明確にして、強い意志で取り組むことが必要です。

強い意志があれば、手法は何とでもなると考えています。

次回は「事業再生の手法(種類)」について紹介します。

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