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ポストコロナの金融政策(1)・金融庁の方針

2022年8月31日に、金融庁から「2022事務年度金融行政方針」が公表されています。

*金融庁の事務年度:7月~6月、毎年8月下旬に各年度の方針を公表

全部で、約200ページにわたっていますが、ここでは、概要について紹介します。

中小企業の支援に関しては、「経済産業省の中小企業庁」が主になりますが、中小企業に資金を提供する銀行などの金融機関を管理監督するのが「金融庁」になります。そのため、金融庁の方針によって、金融機関の中小企業に対する関わりが変わり、融資や支援態勢に影響がでます

今回は、「金融行政方針」を示し、次回以降で、2022事務年度の中で、特に中小企業に関係する施策について紹介していきます。

 

これまでからの変化

金融行政方針は、毎年、公表されていますが、コロナ禍の「2020年」「2021年」は、コロナによる金融不安を少なくする施策がメインになっていました。

今年は、(まだ終息していませんが)コロナ禍後(ポストコロナ)の対応を主に示しています。

参考に、2020年と2021年の方針の見出しと概要を紹介します。2022年は、これまでの2020年、2021年の方針をより具体的にした内容になっています。

 

2020年 *コロナ禍による社会・経済の大きな変化への対応

1 コロナと戦い、コロナ後の新しい社会を築く

・金融機関が、継続的に事業者の業況をきめ細かく把握し、資金繰り支援を適切に行うことを金融庁として支援し、その取組状況を確認する。

・コロナ後に、新しい産業構造への転換を支えられる金融のあり方について検討を始める。*これが2022年の方針につながっていると思われます。

2 高い機能を有し魅力のある金融資本市場を築く

・日本の金融資本市場の機能を高め、アジアや世界における役割を高められるように取り組む。

*海外金融機関・専門人材の受入れを促進するため、金融行政プロセスの英語化や登録手続の迅速化を進める。*これはコロナ禍の長期化で進展していないと思われます。

3 金融庁の改革を進める

・「金融育成庁」として力を発揮できるよう、金融庁自身の改革を進める。

 

2021年 2020年に比べより具体的に

1 コロナを乗り越え、力強い経済回復を後押しする

(1)金融機関に対して、引き続き、事業者の資金繰り支援に万全を期すように求め、対応状況を確認する。

(2)豪雨等の自然災害発生時には、金融機関に対して、きめ細かな被災者支援を行うように促す。

(3)金融機関等による事業者の「経営改善」「事業再生」「事業転換支援」等の取組みを促す。

(4)地域経済全体の活性化に向け、金融機関等に「経営人材マッチング」「事業者支援のノウハウ」等の提供を行う。

(5)地域金融機関が地域の実情等を踏まえ持続可能なビジネスモデルを構築するよう、経営改革の取り組みを支援する。

2 活力ある経済社会を実現する金融システムを構築する

金融サービスの活発な創出を可能とする金融システムを構築することにより、活力ある経済・社会構造への転換を促していく。

(1)金融分野におけるデジタル・イノベーションの推進

(2)国際金融センターとしての地位確立

(3)サステナブルファイナンスの推進

(4)インベストメント・チェーン全体の機能向上

(5)利用者目線に立った金融サービスの普及

(6)マネロン等対策の強化やサイバーセキュリティの確保のほか、システムリスク管理体制の強化

3 金融行政をさらに進化させる

・「金融育成庁」として、データ分析の高度化等によるモニタリング能力の向上、専門人材の育成など、金融行政を担う組織としての力を高めていく。

 

2022事務年度 金融行政方針

キャッチフレーズとして「直面する課題を克服し、持続的な成長を支える金融システムの構築へ」が示されています。前年の2021年の内容を更に具体化しています。

 

1 経済や国民生活の安定を支え、その後の成長へと繫ぐ

コロナ禍、ウクライナ状勢等による原材料費の高騰等の先行きが不透明となる中、金融面から経済や国民生活の安定を支える施策を提示しています。

また、金融機関に対しては、事業者支援の取組みを後押しするとともに、経営基盤の強化を促しています。

(1)資金繰りや経営改善・事業転換・事業再生等の事業者に寄り添った支援を金融機関に対して促す。そのために次の施策の活用を促す。

1)事業者支援態勢構築プロジェクト

2)中小企業の事業再生等に関するガイドライン

3)REVIC等のファンド

(2)金融機関の事業者支援能力の向上として、次の施策を支援する。

・地域金融機関がノウハウを共有する取組みの後押し

・業種別の着眼点の取りまとめ

経済人材のマッチングの促進

(3)経営者保証に依存しない融資慣行の確立事業全体に対する担保権の早期制度化に取り組む

(4)金融機関の経営基盤の強化と健全性の確保に向けた施策の実施

(5)金融機関に利用者目線に立った金融サービスの普及に向けた態勢の整備を促す

(6)金融機関にマネロン対策等やサイバーセキュリティ、システム管理体制の強化を促す

 

2 社会課題解決による新たな成長が国民に還元される金融システムを構築する

貯蓄から投資」へのシフトを進め、成長の果実が国民に広く還元される好循環を実現する。

(1) 国民の安定的な資産形成を促進する:政府の「資産所得倍増プラン」の策定に対応

・NISAの抜本的拡充や国民の金融リテラシーの向上に取組むとともに、金融事業者による顧客本位の業務運営の確保に向けた取組みを促す。

(2)スタートアップなど成長企業に対する円滑な資金供給を促す施策の実施

・上場プロセスの見直し

・私設取引システム(PTS)を活用した非上場株式の流通の円滑化

・投資信託への非上場株式の組み入れに関する枠組みの整備 等

(3)企業情報の開示の見直し

(4)サステナブルファイナンスを推進するための施策

(5)デジタル社会の実現に向けた環境整備

(6)国際金融センターの発展に向けた施策

 

3 金融行政をさらに進化させる

内外の環境が大きく変化する中、職員の能力・資質の向上を図り、データ等に基づく分析力を高めるとともに、国内外に対する政策発信力を強化する。

 

2022事務年度金融行政方針について:金融庁公表

 

 

金融行政方針のトピックス

上記の金融行政方針に示された中から、今後の中小企業に影響がある点について、次号以降、数回に分けて、説明を加えていきます。

★ メインバンク制の考え方

★ 地域金融機関(地域銀行、協同組織金融機関)の役割

★ 事業者支援態勢構築プロジェクト

★ 中小企業の事業再生等に関するガイドライン

★ 経営者保証に依存しない融資慣行の確立

★ 事業全体に対する担保権の早期制度化

★ 廃業時における『経営者保証に関するガイドライン』

★ 地域企業経営人材マッチング促進事業

 

 

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