「中小企業活性化パッケージ」これは何??
2022年3月4日に「中小企業活性化パッケージ」というタイトルの新たな施策が「経済産業省・金融庁・財務省」の合同で発表されています。
サブタイトルは「コロナ資金繰り支援の継続と収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進」、パッケージというだけあって、大きな要素がふんだんに詰め込まれています。
同時に、全国銀行協会の「中小企業の事業再生等に関する研究会」が『中小企業の事業再生等に関するガイドライン』を公表しています(2022年4月15日適用開始)。
これらの全体を見ると、各中小企業がそれぞれの事業内容や経営状況に応じて、何らかの支援を受けられる可能性があると感じます。ただし、制度を知っていなければ何の意味もありませんので、当社にお問い合せ下さい。事業内容や経営状況に応じて、最適な経営・事業の進め方、その中で適用可能な補助金等があれば、その申請支援を行います。
「中小企業活性化パッケージ」の中には、当社も認定を受けている「経営革新等支援機関」の新たな役割が示され、支援に対する補助金も示されています。
中小企業活性化パッケージ
全体像を示します。「コロナ資金繰り支援の継続」と「中小企業の総合的支援」の2つの柱で構成されています。
この中で、当社が関係する施策の概要について紹介します。各施策や取り上げなかった施策については、必要に応じて取り上げていきます。
4 認定支援機関の伴走支援強化
当社はこれまでも「認定支援機関」として、「経営改善計画の策定及びその後のモニタリング」に関わってきました。
今回の施策では、改善計画の実行段階を重視し、その支援に対して補助金を出すことになっています。
5 収益力改善支援強化
中小企業再生支援協議会(4月1日に「中小企業活性化協議会」に改組)がコロナ禍で緊急的に実施している特例リスケジュール支援について、ポストコロナを見据えて収益力改善支援に変更します(4月1日以降)。
現在の特例リスケジュール支援(3月末まで)
(1)緊急的な金融支援(リスケジュール)の調整【必須】
金融機関の支援姿勢を確認した上で、中小企業に代わり、金融機関に緊急的な返済猶予を要請。
(2)資金繰り計画の策定支援
今後1年間の資金繰り計画の策定を支援
(3)収益力改善に向けた計画策定支援【希望次第】
事業者の希望に応じて、ポストコロナに向けたアクションプランの策定を支援
(4)定期的なモニタリング
(5)適切な支援策への移行
収益力改善にシフトした新たな支援(4月1日~)
(1)収益力改善に向けた計画策定支援【必須に変更】
ポストコロナに向け、収益力改善のためのアクションプラン等の策定を支援
(2)資金繰り計画の策定支援
今後数年間の資金繰り計画の策定を支援
(3)金融支援(リスケジュール)の調整【必要に応じて】
必要に応じて、金融機関の支援姿勢を確認した上で、中小企業に代わり、金融機関に返済猶予を要請。
(4)定期的なモニタリング
(5)金融機関との支援方針の目線合わせ
金融機関とアクションプランの進捗状況を確認し、今後の支援方針をすり合わせ。
(6)適切な支援策への移行
6 中小企業の事業再生等に関するガイドライン
全国銀行協会が中心になって、増大する債務(借金)に苦しむ中小企業の円滑な事業再生等を一層支援するため、関係者間の共通認識を醸成し、一体となって取り組みを進めるべく、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」を策定しています(4月15日適用開始)。
2001年から運用されている「私的整理ガイドライン」との違いを示します。今回のガイドラインは従来と比べて緩和されています。
「経営改善計画策定支援事業」の新ガイドライン枠
中小企業再生支援協議会(4月1日に「中小企業活性化協議会」に改組)による事業再生等の支援とともに、民間による事業再生等の支援を促進するため、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」に基づく私的整理を支援する制度が創設されます(4月15日から開始予定)。これまでは私的整理に対する補助金はありませんでしたが今回は設定され、これにより私的整理が進めやすくなると思っています。
1 主な補助対象要件
(1)「中小企業に関する事業再生等に関するガイドライン」の中小企業版私的整理手続に基づき私的整理を行うこと
(2)認定経営革新等支援機関による計画策定支援等を受けていること
2 補助率・補助上限
(1)補助率:3分の2
(2)補助上限:1案件につき、上限 700万円
・DD費用等:上限 300万円
・計画策定支援費用:上限 300万円
・伴走支援費用:上限 100万円
8 再生事業者の収益力改善支援の拡充
今回の施策では、事業再生中の企業も補助金が活用できるようになっています。
事業再構築補助金
通常枠よりも補助率を引き上げた「回復・再生応援枠」(補助率3/4(中堅2/3))を創設(再生事業者の加点措置も実施)。
ものづくり補助金(通常枠)
再生事業者の補助率引き上げ(2/3)、審査時の加点処置がされます。
11 一元的な支援体制の構築
これまでの「中小企業再生支援協議会」と「経営改善支援センター」が統合され、「中小企業活性化協議会」が発足します(4月1日発足予定)
当社の取り組み
当社もこれまで、認定支援機関として、「経営改善計画の策定」「事業再生の支援」、「経営革新計画・経営力向上計画の策定支援」、「事業再構築補助金・ものづくり補助金の申請支援」などに取り組んできました。
コロナ禍によって経営状況が悪化した企業、過剰な債務(借金)状態に陥った企業が今後更に増えて行くことが予測されます。今回、国としてもこの課題に対応するために早めに仕組み作りを行ったものと思います。
もう一つの、経営者の高齢化、後継者不足による「事業承継」「大廃業時代」の課題もあります。
また、世界的な政治的、経済的な不安定もあり、先が見えない状態になっています。今一度、現状を整理して、新たな取り組みを行うことが必要です。
関連記事
-
-
中小企業テクノフェアin九州(1)
『中小企業テクノフェアln九州2016年』が、10月12~14日に、北九州市の「 …
-
-
日本の国際競争力の低下~立ち直りの道は?~
2020年2月20日に、九州工業大学技術交流会主催、西日本シティ銀行共催の「事業 …
-
-
2020年度の国の施策を当社が推進
2021年8月31日、経済産業省から「令和4年度・経済産業政策の重点」が公表され …
-
-
『自立と連携』の基盤作りができた年かな ~2017年を振り返って~
2017年が終わろうとしています。 毎年思うことですが、今年は特に1年が早く過ぎ …
-
-
経営指導研修 第2期 オープン講座 ●★ 商品開発・販売戦略 + 事業承継 ★●
「株式会社 事業パートナー九州」では、「株式会社 事業パートナーの松本社長」の全 …
-
-
『自立と連携』を高度化・深化して次のステージに ~50歳代最後の年を楽しみます~
2018年(平成30年)が始まりました。 本年は、当「北九州アシスト法務事務所」 …
-
-
新型コロナウィルスの各種支援策
経済産業省では、新型コロナウイルスの影響をうける事業者のみなさまにご活用いただけ …
-
-
『事業復活支援金』の事前確認を行います
事業復活支援金の受給申請に必要な「事前確認」は、『登録確認機関』に依頼することが …
-
-
戸畑祇園大山笠に併せて実施の当事務所のイベント終了
7月22日(土)に、ユネスコ無形文化遺産に登録された「戸畑祇園大山笠」の競演会に …
-
-
経営指導研修 第2期 オープン講座 ●★ 企業の決算書の活用 ★●
「株式会社 事業パートナー九州」では、「株式会社 事業パートナーの松本社長」の全 …
前後の記事
- 前の記事
- ものづくり補助金・「デジタル枠」の新設
- 次の記事
- 深刻・急がれる事業承継~『ガイドライン』の改訂~