北九州アシスト法務事務所の創業支援(3)資金調達
北九州アシスト法務事務所は、中小企業の支援を中心とした行政書士事務所です。
前回まで、創業(会社設立)について、事業計画の検討、創業の手続きについて紹介しましたが、今回は、創業者にとって最も関心が高い「資金調達」に関して紹介させて頂きます。
北九州での「行政書士の開業」に当り、各種の機関の方々とお話しさせて頂き、「北九州市は中小企業の資金調達支援」に関して非常に熱心で、支援体制が充実していると感じています。
この中で、各機関とも連携させて頂いて、中小企業・創業者の資金調達の支援をさせて頂きたいと思っています。
<創業者の資金調達方法>
創業者の資金調達には、主に次の方法があります。
① 自分で必要資金を貯める(純粋な自己資金)
② 親族・友人等から援助してもらう
③ 金融機関から融資を受ける
④ 助成金・補助金を受ける
①の自己資金だけで賄うのが理想ですが、創業に必要な資金全てを用意するには時間を要し、待っていたら「ビジネスチャンス」を逃してしまう可能性があります。
また、親族・友人から借用は、万が一事業が失敗した場合、「金の切れ目が縁の切れ目」になり、精神的にダメージを負う可能性があります。
助成金・補助金は、ほとんどが「後払い」のため、創業資金としては時間的に当てにできない可能性があります。
自己資金だけでは足りない場合は、③の「金融機関からの融資」が最も現実的で有効な資金調達方法になります。
<金融機関からの融資>
創業者が金融機関から融資を受けられる「選択肢」は、次の2つに限られます。
① 日本政策金融公庫(国民生活事業)の融資
② 自治体(北九州市、福岡県)制度融資(信用保証協会の保証付き融資)
両機関からの融資の詳細については、今回は省略しますが、無担保・無保証人での融資もあり、使いやすい制度になっていますので、不明な点は当事務所にご相談願います。
<創業融資での重要ポイント>
1.自己資金を用意する
前回の会社設立の資本金のところで、自己資金に関しては触れましたが、融資を受ける際、特に無担保・無保証人の場合に重要視されます。
「自己資金」とは「事業に投資する予定の純然たる自己所有の資金」であり、金融機関に対しての「創業への本気度」「準備の度合い」を意思表示になります。
最近の創業融資の流れは、要件上は、自己資金の重要性を下げていますが、実質的には重要な審査ポイントです。
最低でも必要資金の「3分の1」、できれば「2分の1」を用意したいものです。
*全体で「1,500万円」必要な場合は「自己資金:500万円」、「融資金額:1,000万円」
自己資金については、その額に加え、蓄えたお金の流れを、金融機関に示すことが必要になります。
また、「お金をきちんと管理できる人」かを判断するために、金融機関は通帳を確認します。
・「自己資金」は「預貯金」で管理:定期的に積み上げたことが目に見えるように *タンス預金は認められないときがあります
・「公共料金」は支払い期日を守る *振り込みよりも「口座からの引き落とし」が良い
・「家賃」は滞納しない
・「税金」は完納しておく *例えば北九州市から融資を受けるのに、市税を滞納していたらまず融資は受けられません
2.資金の必要性・返済の見込み
金融機関が融資申込者に対して、何を審査しているのかの観点でみた、次のことを明確にして、これを申請書類に示す必要があります。
① 必要金額(いくら貸して欲しいのか?)
金融機関に、「借りれるだけ借りたい」「いくらまで借りれるか?」は、相手にしてもらえません。
「●●の設備を購入するために資金が必要だが××円足りないので」「足りない△△円を融資して欲しい」と具体的に金額を提示する必要があります。
② 資金使途(何に使うのか?)
友人から「100万円貸してほしい、理由は聞かないで、必ず返すから、信用して」と言われても、すぐに貸す人はいないと思います。
金融機関も同じで、何に使うのかを明確に示さないと、融資はしてもらえません。
資金使途は「運転資金(給与支払い、原材料費購入など)と「設備資金(製造装置、パソコンなど)」がありますが、それぞれに対して根拠となる資料を提示する必要があります。
③ 返済財源(貸した後は、どうやって返してくれるのか?)
融資の返済財源とは、借りたお金を返すために何をもって返すかの「何を」ということを示します。
返済は事業活動から出た「利益」からしか返済できないので、「利益」がでる根拠(ストーリー)を提示する必要があります。
提示する資料が「毎年赤字」になるようでは、融資を得ることはできません。
事業内容をよく検討し、返済できる「利益」が出る「事業計画」にしなければなりません。
なお、創業当初はなかなか利益がでないので、返済の「据置期間」を設けて、しばらくは「利息の支払い」のみで、その間、元金の返済はしないでも良いという制度があります。
④ 保全(もしもの時に担保のようなものがあるのか?)
通常、金融機関は融資をする際に「担保」や「保証人」を求めます。
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、無担保、無保証人の制度ですので、創業する方で、担保も保証人も用意できない方にとってはありがたい制度です。
また自治体の制度融資も「信用保証協会」の信用保証が必要ですが、連帯保証人や不動産担保を必要としない融資なので、創業者には助かる制度です。
⑤ 期間(いつ返すのか?)
借りている人の中には、「早く返したい人」逆に「返したくない人」がいるかと思います。
各融資の場合、幅がありますが「返済期間」が定められています。
事業内容・計画をよく検討して返済期間を決める必要があります。
創業時は、売上を十分に上げるまでに時間がかかり、資金繰りが厳しいことが多いので、なるべく長期で借りて、毎月の返済額を抑えた方が安定しやすいので、期間を長めに借りることをお勧めします。
<申請に必要な書類>
申請に必要な書類は、申請先によって多少の違いはありますが、次のことを示す必要があります。申請先機関の指定の書式だけでなく、必要に応じて補足資料を作成、提示することも重要です。
① 事業説明(創業目的、事業内容(強みの説明)、将来のビジョン)
② 事業開始に必要な資金
③ 資金調達計画(自己資金、融資が必要な金額)
④ 販売・仕入先
⑤ 収支計画(損益計画)
先にも示しましたが、⑤の収支計画は特に重要です。月次に分解して、詳細に検討する必要があります。
以上、3回に渡り、「創業(会社設立)」に関して、紹介しましたが、「北九州アシスト法務事務所」は、創業計画の検討から、会社設立の手続き、創業融資まで幅広く支援させて頂きます。
また、これまでの「32年間の会社勤めの経験」「行政書士の法律面のスキル」「これまで構築した人的ネットワーク」で、更に「赤沼創経塾との連携で最新情報を入手」して、創業後も継続的に支援したいと考えています。
次回以降は、創業だけでなく、中小企業様のご支援として、これまでの経験も含めて、当事務所が実施したい、実施できる支援内容について紹介させて頂きます。
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