国策の「外国人・特定技能」の現状と今後
2023年末の特定技能の状況
入国在留管理庁(入管)から公表されている「特定技能」で働いている外国人の状況を紹介します。
政府は、人手不足の対応の一つとして、「外国人材の活用」を上げ、現場作業の施策として「特定技能制度」の拡充を進めています。
特定技能人材の人数の推移
コロナ禍後の日本の景気回復により人手不足が深刻化する中で、2022年(令和4年)3月の入国規制の緩和その後の撤廃により外国人材の活用が増え、特定技能で働く外国人も増加しています。
採用する側として、「日本語能力や日本での慣れ」および「航空運賃の負担」等の理由で、「日本国内から採用したい」との声が聞かれます。そのため、国内の「技能実習経験者」や「留学生で試験合格」の方が特定技能に移行するケースが主流でしたが、これらの方々からの特定技能への移行が人数的に厳しくなり、入国制限の緩和・撤廃もあり、海外からの呼び寄せも増えてきています。
上記のグラフから、海外からの比率をまとめたものを示します。2023年末では「30%」を超えています。今後もこの傾向が続くと思います。
産業分野別の特定技能人材の割合
「飲食料品製造業」と「工業系製造業(製造3分野)」の2分野で「48.5%」と約半数を占めています。人手不足が深刻な「介護業」「建設業」「農業」も多く従事しています。
国籍・地域別の割合
従来通り、「ベトナム」が半数以上を占めていますが、直近では「インドネシア」や「ミャンマー」が増えています。
当事務所の関連の「アシスト国際事業協同組合」でも、「インドネシア」「ミャンマー」が増加しています。
特定技能の今後
ここでは、特定技能の新情報として2点を紹介します。
(1)新規に4分野を追加
(2)今後5年間の各分野の最大受入人数の公表
(1)新規に4分野を追加
現状で人手不足が深刻な次の4分野が新たに特定技能制度に加えられました。
自動車運送業
トラック、バス、タクシーの運転手が想定されています。
トラックの運転手は2024年4月から時間外労働時間が制限され(2024年問題)、労働時間が短くなり輸送能力が落ちるという問題があり、運転手の増員が必要になっていますが、日本人運転手を確保することが難しくなっています。
タクシーの運転手は高齢化が進み、また、バスの運転手も不足し減便がなされている状況です。
鉄道
運転士、車掌、駅係員、車両製造が想定されています。
林業
育林が対象とされています。
木材産業
木材加工が対象とされています。
既存分野での業種の追加
新規分野の設定の他に、既存分野では次の変更が予定されています。
・飲食料品製造分野:スーパーでの総菜調理の追加
・工業製品製造業:繊維、印刷などの業務を追加
(2)5年間の受入最大人数
3月29日の閣議で決定された今後5年間(2024年(令和6年)4月~2029年(令和11年)3月)の各分野の受入上限数を示します。2023年末の「約20万人」にたいして「82万人」と約4倍になっています。
今後の動きを注視
現在、技能実習制度の変更が検討されています。具体的には、技能実習制度を廃止して、特定技能制度とリンクした「育成就労制度」を創設する内容です。
これに伴い、特定技能でも、更に分野や業種の追加が行われることが予測されます。
今後、追加や変更がありましたら随時紹介していきます。
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