外国人との共生社会の実現に向けて
日本社会の少子高齢化による労働力不足の対応として、政府は外国人材活用の制度整備を進めています。
2022年(令和4年)12月末現在、過去最高の「約308万人」(日本の総人口の2.44%)の外国人が在留しています。
この在留外国人の増加を受けて、2022年6月に「外国人と共生社会の実現に向けたロードマップ」を策定し、2023年6月に一部改訂を行っています。
これは、2022年度から2026年度までの5年間の実施項目を定めたものです。
「3つのビジョン」と「4つの重点事項」が設定され、各施策が決められています。
目指すべき外国人との共生社会のビジョン(3つのビジョン)
取り組むべき中長期的な課題(4つの重点事項)
(1)円滑なコミュニケーションと社会参加のための日本語教育等の取組
(2)外国人に対する情報発信・外国人向けの相談体制の強化
(3)ライフステージ・ライフサイクルに応じた支援
(4)共生社会の基盤整備に向けた取組
各重点項目に対するロードマップが示されています。
ここでは、それぞれの主要施策を示します。
(1)日本語の教育
外国人との共生において、日本人と外国人との間のコミュニケーション、その手段としての日本語教育について、最も重要な施策としています。
体制の整備
日本語教育実施の主体として、地方自治体を設定しています。
都道府県・政令指定都市が中心になり、各所属する市区町村の推進体制を整備する形になっています。
・各都道府県等に「総合調整会議」を設けて、
・総合コーディネーターの選定
・地域日本語教育コーディネーターの選定
★国内だけでなく海外における日本語教育の普及にも取り組む
実施内容の整備
日本語教育として次の施策に取り組みます
・日本語学習サイト「つながるひろがるにほんごでのくらし(つなひろ)」
・日本語能力評価ツール「にほんごチェック!」
・やさしい日本語の普及
*日本語の教育に「ICT教材」「オンライン講座」を取り入れていく
*日本語教育機関の認定制度
*日本語教師の資格制度
(2)情報発信・相談体制の強化
実施施策
・「生活・就労ガイドブック」の公表
・「外国人生活支援ポータルサイト」の開設
・マイナポータル等を通じた情報の入手・発信
・一元的相談窓口の設置促進
・実用レベルの「同時通訳」の実現
・地域での外国人支援機関の合同相談会実施
(3)ライフステージに応じた支援
外国人の増加により、日本で出産・子育てを実施、その後の就学、就労、そして老後(年金生活)の対応も必要になってきます。
そのため、次に示す支援を検討しています。
・地域子育て支援拠点事業の実施
・外国人の子どもの就学状況の一体的管理・把握を推進
・公立高等学校で外国人特別定員枠の設置検討
・高等学校での日本語の個別指導
・ハローワークの外国人雇用サービスコーナーの充実
・留学生の国内企業等への就職促進
・定住外国人を対象に職業訓練の実施
・年金制度に関する周知・広報の充実
(4)共生社会の基盤整備
・「外国人との共生に係る啓発月間(仮称)」の創設・イベントの実施
・学校における、異文化理解・多文化共生に関する教育
・在留外国人の生活状況の実態把握の強化
・外国人労働者の労働条件等の雇用状況の把握
・民間支援団体の活動を支援
・出入国在留管理庁(入管)の情報の一元的管理の仕組み構築
・マイナンバーカードと在留カードの一体化
・外国人支援人材の育成・認証制度の検討