【2025年振り返り】外国人材活用・企業が備えるポイント
2025年は、日本の外国人政策において大きな転換点となった一年でした。
政権交代を背景に、外国人材の受入れについては「人数の確保」から「質・定着・ルール遵守」へと、政策の軸足が明確に移りつつあります。
人手不足に悩む中小企業にとって、外国人材の活用は今後も欠かせない一方で、制度理解が不十分なまま進めることが大きなリスクになる時代に入ったと言えます。
本記事では、2025年に公表・議論された外国人政策の動きを振り返りながら、2026年以降を見据えて企業・外国人双方が注意すべきポイントを整理します。
(1)外国人の現場作業員制度の見直し
~ 特定技能の拡充と「育成就労制度」への転換~
■ 特定技能制度の拡充
2025年は、特定技能制度の役割が一段と重くなった年でした。
建設、製造、介護、外食などを中心に、人手不足が構造的な問題として定着する中、特定技能は「即戦力としての外国人材」を受け入れる制度として、実務上の重要性を増しています。
今後は、
・特定技能1号から2号への移行
・長期就労・家族帯同の可能性
といった点が、外国人本人だけでなく、受入れ企業側にとっても重要な検討事項となります。
■ 技能実習制度から「育成就労制度」へ
2025年は、技能実習制度の見直しが具体化した一年でもありました。
従来の技能実習制度は、制度趣旨と実態の乖離が長年問題視されてきました。
これを受け、政府は技能実習に代わる新たな制度として「育成就労制度」への移行を打ち出しています。
新制度では、
・日本語教育の重視
・職場変更の一定容認
・長期的な人材育成・定着
といった点が柱になると見込まれています。
企業側には、「単なる人手確保」ではなく外国人材を育て、定着させる視点が強く求められるようになります。
(2)永住権制度の見直し
~ 永住は「ゴール」ではなく「継続的な責任」へ ~
2025年に注目を集めたもう一つの大きな動きが、永住許可後の管理強化です。
これまで永住権は「一度取得すれば安定」というイメージが強くありましたが、
今後は、
・税金・社会保険料の未納
・長期間の海外滞在
・住所届出義務違反
などがある場合、永住資格の取消しが検討対象となる制度が議論されています。
これは外国人にとって不利な制度というより、「日本社会の一員としての責任を果たすこと」を明確にしたものと言えます。
永住申請を支援する立場としては、
・永住申請前のチェック
・永住取得後の生活・法令遵守の助言
まで含めた継続的なサポートが、今後ますます重要になります。
(3)在留資格「経営・管理」の要件見直し
~ 外国人起業支援は「本気度」が問われる時代へ ~
2025年は、外国人経営者向けの在留資格
「経営・管理」ビザの審査が厳格化される方向性が明確になった年でもあります。
特に注目されているのが、
・資本金・投資額要件の引上げ
・常勤従業員の雇用
・事業の実態・継続性
といった点です。
これは、いわゆる「形式的な会社設立」や「在留目的のみの起業」を防ぐ狙いがあります。
一方で、本気で日本で事業を行う外国人経営者にとっては、
・しっかりとした事業計画
・雇用創出
・地域経済への貢献
を示すことで、評価される余地も大きくなると考えられます。
行政書士・経営支援者としては、「ビザ取得だけ」で終わらせず、会社設立後の経営支援まで含めたサポート体制が求められます。
(4)在留資格更新・申請手数料の増額議論
~ コスト意識がより重要に ~
2025年には、在留資格の更新・変更・永住申請などの
手数料引上げに関する報道も相次ぎました。
今後は、
・在留資格更
・変更申請
・永住申請
などにかかる費用負担が、企業・外国人双方にとって無視できない水準になる可能性があります。
企業側としては、
・外国人社員のビザ費用を誰が負担するのか
・契約書・社内規程の見直し
といった点も含め、制度面・実務面の整理が必要になります。
(5)2025年を振り返って
~ 外国人材活用は「量」から「質・定着」へ~
2025年の外国人政策を総括すると、次のキーワードに集約されます。
・拡大一辺倒から「ルール重視」へ
・人手確保から「人材育成・定着」へ
・短期的対応から「中長期戦略」へ
外国人材活用は、もはや一時的な対策ではなく、企業経営そのものに直結するテーマになっています。
2026年に向けて企業が備えるべきこと
2026年以降を見据え、企業・経営者が今から備えるべきポイントは以下の通りです。
1 制度変更を前提とした人材戦略の見直し
2 外国人材の定着・育成を含めた受入れ体制整備
3 在留資格・永住・経営ビザを含めた長期視点での設計
4 専門家(行政書士・経営支援者)との継続的な連携
外国人材を「雇う」時代から、「共に成長する」時代へ。2025年は、その転換点となる一年でした。
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