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経営戦略(3)現状の正しい認識②「5フォース分析」

*本記事は2015年10月記載の内容を2020年10月に一部修正を加えています

これまで「経営戦略」について、「経営戦略立案の必要性」を紹介し、前回は「現状の正しい認識①」として、「3C分析」「SWOT分析」を紹介しました。

今回は「現状の正しい認識②」として、自社に影響を与える「5つの力(5フォース)の分析」について紹介します。

経営戦略を立案する上で、現在の「自社の状況」及び「市場や競合の状況」を正しく認識することが重要です。

 

5フォース分析

「5フォース分析」とは、経営の中で「基本的な競争要因」として「5つの力」が存在し、それぞれについて現状を認識して、対応を検討することです。

それぞれの「力」について紹介していきます。

 

1.新規参入の脅威

新規参入の会社が入ってくることで業界の力関係が大きく変わってしまうことがあります。

世界的に大きな影響を持つ「外国企業」が突如「日本市場に参入」することもありますし、金融業界では規制緩和によって金融資産を多く持っている企業が参入している状況もあります(セブン銀行、イオン銀行)。

既存の会社は、「参入障壁を高くすること」によって、新規の参入を防ぐことができます。

この参入障壁として、「規模の経済性(参入するのに莫大な設備投資が必要、巨大な販売網の構築が必要)」「製品の差別化(他が実現できない製品・技術、ノウハウ)」「各種の規制」「特許」などがあります。

設備投資、製品の差別化について、これまでの経験を紹介します(自分が経験したわけではありませんが)。

現在の電子機器に部品として使用されている「LSI(大規模集積回路)」は、シリコンウェハー上に複数の薄膜を形成し、それを微細に加工します。

この微細加工には、「フォトリソグラフィー」という技術が使用され、その中で「フォトマスク」が使用されます。

この「フォトマスク」を作製するには、「電子ビーム描画機」という高価な設備を導入することが必要です。

この「電子ビーム描画機」は1台当たり数億円し、メンテナンスや故障を考慮して、お客の供給の要求を満たすのは、複数台整備しなければなりません。

また、「SDカード」の急激な保存容量アップに見られるように、「LSI」の集積度はどんどん高くなり、これによって、より細かい加工が必要になります。

このより細かい加工を実現するには「電子ビーム描画機」を定期的に更新(新規入れ替え)していかなければなりません。

このため、資金力を持ち、その高価な「電子ビーム描画機」を使いこなす「ノウハウ」を持っている会社に対して、新規参入は難しくなります(参入障壁が高い)。

これは、大企業の事例ですが、中小企業では、「優れた加工技術」「独自の創作料理」「特許」などが「参入障壁」になります。

 

2.代替製品・代替サービスの脅威

既存製品の類似機能を他の製品やサービスで代用できる場合、既存製品自体の存在価値がなくなるので大きな脅威になります。

インスタントカメラがデジタルカメラに代わり、スマートフォンに代わってしまった。

同様に、レコードがCDに、さらにはダウンロードに代わってしまった。

私は、製造会社勤めの大半は、「プラズマディスプレイ(PDP)の開発、その構成部材の事業化」に携わっていました。

その当時は、「PDP」と現在の主流の「液晶」はサイズの面ですみ分けができると信じていました。

「液晶の欠点」として、次の点が挙げられていました。

①大面積ができない:20インチ以上のサイズは、液晶(液体)を狭い隙間に入れるのに時間がかかり、大量生産ができない。

②応答性が悪い:動画表示はできない、例えば、野球の打球の動きに追従できない

③視角依存性が悪い:見る方向によって、色が違って見える

そのため、30インチ以上の薄型大型テレビ(夢の壁掛けテレビ)は、「PDP」しかないと、PDPの開発者をはじめ推進者は「思い込んで」いました。

ところが、最も難しいと思われていた「①の大面積への液晶の封じ込め」がいとも簡単にできる「技術、装置」が実現してしまいました。

また、同時に、②と③の問題も徐々に改善され、その結果、30、40インチはおろか、50インチ、80インチ、100インチも実現できてしまいました。

そのため、「PDP」大型投資を行った工場があっという間に閉じなければならない状況に追い込まれました。

幸い「PDPの生産」を行っていたのは大企業だったので、倒産まではいきませんでしたが、各社とも大きな損失を被ることになりました。

今では、その時に勝ち残った液晶の国内メーカーも、韓国、台湾、中国のメーカーにコスト的に負けて、テレビ向けの液晶はほぼ全て海外生産品になってしまいました。

このように、既存製品の将来を考える場合、代替製品の動向(技術開発など)を注視し、損失が大きくなる前に撤退・縮小などの手を考えておく必要があります。

この代替製品(技術)が出現すると、先に示した「参入障壁」が崩れてしまう可能性もあり、恐ろしい脅威になります。

 

3.得意先の交渉力

得意先が強い立場に立てるのは、「大量に購入する」「規格品か、汎用品を購入する」「乗り換えに費用がかからない」場合などがあります。

得意先が同じものを入手できる場合は、当然、調達コストが安いところから購入します。

自社が得意先に優位に立てるのは、その得意先に価値を認めてもらえる場合です。

「その製品・サービスが、その会社だけしか実現できない」、または「コスト的に他が実現できない」ときは、得意先に対して優位の立場を得ることができます。

また、「品質が優れている」場合も、多少他社よりも価格が高くても、採用してもらえる可能性もあります。

新製品を製造する場合、需要が読めないので、自社では全部あるいは一部を製造しなくて、他社に依存する場合があります(アウトソーシング)。

この場合、発注元である得意先が、その製品が将来的に伸びると判断した場合、自社で製造装置を入れる、いわゆる内製化を実施して、買手が競合先に変化してしまう可能性があります。

この場合の対策として、「特許で防衛」あるいは「真似のされないブラックボックス(ノウハウ)を設けておく」などの対策が必要になります。

得意先の言いなりになるのではなく、得意先の状況をよく把握しておいて、得意先が抱えている課題を解決することができれば、従来の購入先を排除して、自社に優位な状況を作れる可能性がでてきます。

 

4.仕入先の交渉力

仕入先も得意先と同様に交渉力を持っています。

自社がお金を払う立場なので、強いと思われますが、次の場合は、自社が弱い立場になります。

「競合する製品が少ない場合(その仕入先からしか購入できない場合)」「取引高が少ない場合」「代替製品に乗り換えるためにはコストと手間がかかる場合」など。

設計段階で、特殊な部品を使用しないで、規格品や汎用品が使用できるようにしておけば、供給できる売手が多く存在するので、安定して、安く購入することができます。

また、「取引量を多く」できれば、強い立場になります。

逆の立場で、自社が供給業者の場合、供給する製品が「差別化されていて」購入先がその製品を使わざるを得ない状況をつくれば優位な立場を築くことができます。

 

5.業界内の競争関係

同業者が多い」「同程度の規模の会社がひしめきあっている」「業界の成長が遅い」「固定費の割合が大きい」「取扱い製品が差別化しにくい単純な製品である」などの要素が大きいほど、敵対関係が激しくなる傾向にあります。

駅前の繁華街に同じ種類の「ラーメン店」がある場合、お客の数は限りがあるので、同じ内容のメニュー、値段ではより競争が激化します。

特徴のある、他の店と差別化ができるメニュー、サービスを導入して、生き残りを図る必要があります。

飲食店の場合、立地の環境の調査を綿密に行って、なるべく競合が少ない場所を選ぶ必要があります。

「経営戦略の立案・推進」は、会社の発展には必要不可欠なものです。

その立案の前に、「自社」と「顧客、市場、競合他社」の状況を正確に把握することが重要です。

これまで、2回に渡り、「現状の正しい認識」として、現状を把握する「3つの手法:3C分析、SWOT分析、5フォース分析」について紹介しました。

これらの手法で「現状を認識」した後に、「自社の事業領域(事業ドメイン)」を決めるステージに入ります。

次回以降、「事業ドメインの設定」「戦略の立案」「計画の落とし込み」について紹介します。

個別の中小企業様の現在の状況を把握して、それに基づく「経営戦略」の策定のお役に立ちたいと願っていますので、ぜひ、お声をかけて下さい。

 

 

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