日本の外国人受入れ政策 - 北九州アシスト法務事務所

日本の外国人受入れ政策

日本人の生産年齢人口の減少が著しい

以前も報告しましたが、日本の人口、特に生産年齢人口の減少が大きくなって社会問題になっています。

次の図は、最近読んだ書籍に示されていた図です。

「人口亡国:移民で生まれ変わる日本」

毛受敏浩著 (朝日新書)から抜粋

 

現在、日本は様々な課題を持っています。その中で現在、将来にわたっての最大の課題は「人口減少」ではないでしょうか?

2020年に対して50年後の2070年には、人口は「69%」に、生産年齢人口は「60%」に減少します。

現在生きている人が「今年は前年に対して日本人の人口が増えました」ということを聞くことはないでしょう。

この生産年齢人口(労働者)の減少を補う策として、外国人材の活用が進められています。

「移民政策」・・・この言葉は賛否両論があるかと思いますが、避けて通ることができないテーマだと思います。

今回は、上記の書籍の中から、直近(約30年)の日本の「移民政策」について紹介します。

 

「移民の受入れ」を検討した時期

過去に「移民の受入れ」を政府として検討した時期があったとのことです。

2000年の直前、小渕恵三内閣でまとめられた「21世紀日本のフロンティア」の中に「移民政策へ踏み出す」という項目があります。

そこに記載されている内容を紹介します(書籍からの転記)。

日本に居住する外国人の数は総人口の1.2%を超えた。居住外国人のうちでは、新たに目的をもって来日した外国人の割合が65%に上る。とは言え、外国人の総人口比は先進国では決して高くなく、日本では「定住外国人政策」が「出入国管理政策」の一環で考えられてきたものの、法的地位、生活環境、人権、居住支援などが総合的に勘案された外国人政策は未発達のままで来た。

しかし、グローバル化に積極的に対応し、日本の活力を維持していくためには、21世紀には、多くの外国人が普通に、快適に日本で暮らせる総合的な環境をつくることが不可避である。「一言で言えば、外国人が日本に住み、働いて見たいと思うような移民政策」をつくることである。国内を民族的にも多様化していくことは、日本の知的創造力の幅を広げ、社会の活力と国際競争力を高めることになりうる。

ただ、一気に門戸を開放し、自由に外国人の移住を図るのは望ましくない。日本社会の発展への寄与を期待できる外国人の移住・永住を促進する、より明示的な移住・永住制度を設けるべきである。そして、日本で学び、研究している留学生に対しては、日本の高校・大学・大学院を修了した時点で、自動的に永住権が取得できる優遇策を考えるべきである。

20年以上前の提言ですが、この内容を現在に当てはめても十分に通用する論理であり、多くの国民の理解を得ることはそれほど難しくない内容と思います。

移民政策の検討がなくなった経緯

小渕首相の死去

小渕首相が在任中に亡くなり、引き継いだ森政権ではこの移民の議論が行われることなく、国内で移民の議論は低調な時期が続きます。

 

移民1000万人受入れの提言

次に移民政策が議論されるのは、小渕政権から10年近くが経過した2008年、福田康夫総理の時代です。

この時に、次の内容の「人材開国!日本型移民政策の提言」が発表されました。

・移民庁の設置

・永住許可要件の緩和

・今後50年間で「1000万人」の移民受入れ

発表が行われると、いきなり「1000万人」という数字が独り歩きし、「大量の移民の受入れ」は、

・日本の国のあり方をゆがめるもの

・安心・安全な社会を揺るがすもの

との批判が多くあがりました。

結局、福田総理の退陣もあり、政策として実を結ぶことはありませんでした。

この提言は、その趣旨と逆に、日本社会に移民についての反対を促進させるきっかけになってしまった可能性があります。

 

日中・日韓対外関係の悪化

福田内閣の後、麻生内閣、そして民主党政権と続きましたが、移民に関する議論は表に出ることはありませんでした。

その後、2010年に対中国、対韓国関係が悪化し、これに伴い「移民のタブー化」が進行していきます。

日本が移民政策をとるのであれば、対象となるのはまずは東南アジアなどの途上国であり、経済が発展した韓国や中国からの移民は想定しにくいにもかかわらず「移民のタブー化」が広がっていきました。

 

外国人の地方参政権の議論

主に民主党政権時に外国人に「地方参政権」を付与する法案が検討されました。

この法案は、「隣国と接する島々にある小さな町村に外国人が多く移り住めば、合法的に行政に対して多大な影響力を持ち、地方自治ひいては国家のあり方にも影響する」などの反対意見により、民主党政権の終了とともに議論は終了しました。

 

ヨーロッパの移民問題

日本国内の問題だけでなく、移民を多く受入れているヨーロッパの各国で様々な問題があることが報道されたことも移民タブー論をさらに加速させることになりました。

 

「1億人維持」への固執

第2次安倍政権では、「50年後に人口1億人の維持」が掲げられ、これを受けて様々な施策が検討されました。

その中で、人口政策とは地域づくりであり、地方の活性化を図り、若者が子育てをしやすい地方都市を増やすことを最大の施策として推進しました。

この時に、外国人の移民についての議論はなされましたが、「まずは日本人の少子化対策に注力すべき」とのことで提言の報告書からは省かれたとのことです。

結果的には、「地方創生」は人口減少を食い止めるという点では失敗に終わり、現状では「1億人維持」はほぼ不可能な状況になっています。

 

移民ではなく外国人労働者の受入れ

「移民」という言葉は反発が多いため、日本の労働力確保のために「外国人労働者の受入れ」を掲げ、それに伴って、

・現場作業員確保のための「特定技能制度」の創設

・留学生の就労機会の拡大

・高度専門職制度の推進 など

の施策が進められています。

現在は、「日本の人口減少」の問題は据え置いて、日本の労働力の確保のための外国人材活用に重点が置かれています。

この点については、別途、現状を整理して紹介します。

 

当事務所では、関係機関と連携して、外国人材の活用や手続きの支援に取り組んでいます。

外国人材の活用の面でのご相談をお受けします。

 

 

 

 

 

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