2024年:外国人材の変化 - 北九州アシスト法務事務所

2024年:外国人材の変化

外国人労働者の状況

2024年は、コロナ禍の影響が薄れ、経済活動が盛んになってきた年です。これに伴い、様々な業界で人手不足が深刻になってきています。

政府は、人手不足を補う形で外国人材の活用を多方面で進めています。次のグラフは、以前にも紹介しましたが「2024年中小企業白書」で示されている「外国人労働者の就業者全体に占める割合」の推移です。

2023年は6年前の2017年に比べて「1.5倍」に増えています。特にコロナ禍の入国規制が完全に解除された2023年は前年に比べ「12%」増加しています。2024年は更に増加していると推察されます。

次に同じく「中小企業白書」に示されている今後の生産年齢(15歳~65歳)人口における外国人人口の将来推計を示します。2070年には「約15%」に増えますが、外国人を含めても日本の生産年齢人口は減少が続き、これによる経済のシュリンクが懸念されます。

 

 

2024年の外国人材活用状況に関するトピックス

上記に示した状況の中で、2024年の外国人材に関するトピックスに、当事務所の取り組みを加えて紹介します。

1 技能実習から育成就労への移行

技能実習制度の見直し

2024年は技能実習制度の改革が本格的に議論され、技能実習を廃止し、新たに「育成就労制度」への移行が決定されました。働く外国人の権利保護と技能向上が重視され、受入れる企業に対する監督体制も強化されています。これにより、悪質なブローカー問題や劣悪な労働環境の改善が期待されています。

実習から実践的な就労へ

新制度では「技能実習」という形式から脱却し、日本での実務経験を積み重ねながら、より労働力として活躍できる仕組みが導入されています「育成就労制度」から「特定技能制度」への移行が明確になっています。これにより、企業等での人手不足の状況が緩和され、併せて、外国人労働者のキャリア形成にも取組む内容になっています。

なお、「育成就労制度」は、2027年からの実施が予定されており、これに向けて2025年には、有識者会議が設けられ、具体化が進められます。

アシスト国際事業協同組合

当事務所の関連組織の「アシスト国際事業協同組合」は、現在、外国人材に関して次の3つの事業を行っています。

(1)技能実習の監理団体

(2)特定技能の登録支援機関

(3)人材紹介事業(有料職業紹介)

上記の「技能実習から育成技能への移行」を進めるとともに、特定技能の支援高度人材の紹介事業等、総合的に取り組んでいきます。

2 高度人材の動き

特別高度人材(J-Skip)

2023年4月から特別高度人材制度(J-Skip)が導入され、これまでの高度人材ポイント制とは別途、学歴又は職歴と、年収が一定の水準以上であれば「高度専門職1号」の在留資格を付与し、「特別高度人材」として更に拡充した優遇措置が認められます。

当事務所にも、この制度に該当する外国人の相談があり、申請の準備を行っています。

3 外国人の起業

今年の後半、時に9月以降、外国人の会社設立、在留資格「経営・管理」の取得に関する依頼が増えています。

個人が起業するのに加え、外国企業が日本に独立会社を設立、外国企業の機能を日本に移すなど、様々なケースがあります。

当事務所の強み:事業計画の策定

在留資格「経営・管理」の取得の申請には、「事業計画の策定」が必須です。当事務所は、経済産業省から「経営革新等支援機関」の認定を受けており、「事業計画の策定」に精通しています。

外国人の経営者から、ビジネスプランをヒアリングして、事業ドメイン(誰に・何を・どのように)とビジネスモデル(自社の実施内容と仕入れ・販売の流れ)を明確にして、売上・利益計画を策定します。

北九州市の特区制度を使った起業

北九州市では、外国人の起業に関して、特区に認定されており、外国人が起業の準備のために「6ヶ月の在留資格」を得ることができます。これは、資本金振込みのための銀行口座の提供に日本に協力者がいない場合に有効です。

本年、海外から当事務所のホームページを見て、北九州でビジネスを行いたいため、「経営・管理」の在留資格を得たいとの問合せがありました。日本に協力者がいないため、この特区制度を使って起業することを提案し、現在、北九州市の認定を受けて、入管に「6ヶ月の在留資格」取得の申請を行っています。

北九州市の特区制度はこちら

4 永住権取得の増加

日本で長く働きたい、住みたい希望を持つ外国人も増え、そのため、「永住権」を取得したいという相談や申請の依頼が増えています。「永住権」を取得する利点として、「更新の不安がなくなる」ということもありますが、「働く選択肢が増える」ということもあります。

当社の例では、技術系の会社に勤めていて、「技術・人文知識・国際業務」の資格で「翻訳・通訳」の業務を行っていた方が永住を取得することで、興味を持っていて勉強もしていた「技術系の管理の業務」を行うことが可能になりました。

また、「人材関係の会社」で「翻訳・通訳」を行っていた方が、営業や請負現場の管理を行うことができるようになりました。

永住の審査が厳しくなっている?

永住申請の増加等により、永住審査が厳しくなっていることが推察されます。

社会保険や税金に関しては、従来は、遅れて納付していても全額支払っていれば問題なかったのが、期日通りに納めていないと認められない可能性があります。

また、収入要件で、ある一定額以上の年収を、直近の年だけでなく、5年間継続していないと認められない可能性があります。相談者の中には、コロナ禍で転職を余儀なくされ、それにより1年間だけ年収が減少したので、現時点での永住申請を断念したケースもあります。

永住取消しが制度化

本年の6月に永住権の取消しが制度化されました。取消しになる可能性がある場合とその判断の進め方を次に示します。

社会保険料や税金の滞納が取消し事由に該当する可能性があるので注意が必要です。

永住権の取消しの要件はこちら

永住権に関するQ&Aはこちら

 

今後も外国人材の活用は増える

最初に示したように、日本人の働き手が減少する中で、様々な業種で外国人材の活用が増えて行くと思います。

政府も人手不足対策として、外国人材の活用に関する制度の整備を進めています。現場作業員に関しては「育成就労制度」の創設、高度人材関しては「高度専門職制度」の拡充などを進めています。

一方、日本社会に好ましくない(悪影響を与える)外国人に関しては、規制を厳しくすることも併行して進めています。

外国人の雇用については、雇用する企業側の意識や受入れ体制が重要です。場合によっては、企業側が罰せられる場合もあります。

当事務所では、関係機関との連携も含めて相談を受け付けていますのでお問い合せ下さい。

お問い合せはこちら

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