在留外国人が大幅に増加、不法在留者も増加
2023年10月13日に、出入国在留管理庁から、
(1)2023年6月30日時点の在留外国人の状況
(2)2023年7月1日時点の不法在留者の状況
が公表されています。
ここでは、概要を紹介します。
在留外国人の状況
在留外国人数の推移
コロナ禍前の令和元年(2019年)末に「300万人」に迫る「約293万人」になりましたが、コロナ禍の入国制限等で令和3年(2021年)末は、「約276万人(約6%減)」に減りました。
令和4年(2022年)3月から入国制限が緩和・廃止になり、更に日本社会の人手不足もあり、在留外国人数は増加し、令和5年(2023年)6月末では、過去最高の「約322万人」になっています。
今後も増加が続くと推察します。
国籍・地域別の人数
国籍・地域別では、「中国」がトップですが、技能実習生や留学生の増加により、「ベトナム」が増えています。
今後、「特定技能人材」や「留学生」の増加で、「ベトナム」に加え、「ネパール」「インドネシア」「ミャンマー」「スリランカ」の増加が見込まれます。
在留資格別の人数
コロナ禍の中でも「永住者」は年々増え、伸び率では他の在留資格よりも多くなっています。
当事務所で扱った案件からでは、「技術・人文知識・国際業務」の高度人材からと「日本人の配偶者等」から「永住者」に移る方が多いです。
今後は、特定技能の制度改定により、「技能実習」⇒「特定技能」⇒「永住者」の流れも増えてくると思われます。
現在、「特定技能」は「約17万人(5.4%)」ですが、今後、国の施策もあり、従事する人数が増えてくると思われます。
不法残留者の状況
不法残留者数の推移
不法残留者の推移は、先の在留外国人数の推移と同様の変化を示しています。
コロナ禍の入国制限もあり、短期滞在で来日しそのまま滞在し不法残留になるケースが減っていましたが、入国制限が緩和・解除され短期滞在(主に観光客)の入国者が増え、これに伴い不法残留者も増えてきています。
短期滞在以外に多い「技能実習」「特定活動」は、「コロナ禍特例の在留許可」がなくなってから不法残留は増えています。問題になっている「技能実習生の失踪」はこれに含まれます。
国籍・地域別の人数
上記の不法残留者数が多い上位3国の在留資格別を示します。
ベトナムは、先に示した「技能実習」や「特定活動」で働いている人数が多く、また、組織的と思われる「失踪」があり、不法残留者数が増えています。
タイと韓国については、短期滞在で入国し、帰国しないまま(不法状態)に日本で、正式な在留資格を取得しないで働いているケースと思われます。
タイについては、日本だけでなく他の国(韓国など)でも不法残留・不法就労が問題になっています。
在留資格別の人数
参考として、在留資格別の不法在留者数を示します。
外国人を雇う際にどう対応するか?
「外国人が増えると犯罪が増える」という意見はありますが、日本人と外国人による犯罪の発生率やその内容を把握して考える必要があります。
当然、外国人数が増えると「外国人による犯罪」は増えます。現在、警察や入国管理局が中心になり、「不法在留・不法就労」の調査や取り締まりを行っています。
「不法残留者」を雇うと雇った会社も罪に問われます。「わからなかった」という言い訳は通りません。
外国人を雇う場合は、まずは、「在留カード」を確認、更にその在留カードが偽造でないことの確認を行って下さい。
その次に「在留資格」が適切かどうかを確認して、必要な手続きを行って下さい。
外国人の雇用に関しては当事務所にお問い合わせ下さい。
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