外国人材を派遣で雇う場合
当事務所に、派遣で外国人を雇う場合の在留資格取得について相談を頂くことがあります。
在留資格や業種によって制限はありますが、人材派遣で、外国人材を活用することは可能です。
この場合の注意点を紹介します。外国人の就労は、日本人では問題ない場合でも法律違反になる場合がありますので、十分に注意して下さい。
派遣とは?
派遣の仕組みを次に示します。
派遣の形態で働く外国人は、人材派遣会社(派遣元)と雇用契約を結び、派遣会社から紹介された会社(派遣先)で働きます。
仕事の指示は実際に働く派遣先企業から受けます。業務に関する質問や相談は派遣先企業と行います。
給与の支払いや社会保険加入・福利厚生の適用は派遣元の派遣会社から受けます。
適合する在留資格が必要
外国人を派遣社員で活用する場合、次の業種が多いかと思います。
・技術者(エンジニア):IT関係、機械・電気・電子関係など
・通訳・翻訳業務、海外との貿易・営業業務など
これらの業務の場合、主に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が必要になります。
なお、現場の作業が主体の技能実習や特定技能のほとんどの業種では、「派遣」は認められていません。
また、日本人と同様に、建設業務、港湾運送業務、警備業務、医療関係業務(一部を除く)では、派遣業務が禁止されています。
在留資格の取得(審査)
在留資格を取得するには、各機関(人)が次の要件等が必要になります。
・派遣元企業:派遣事業の許可を保有、外国人に適切な給料を支払うこと。
・派遣先企業:在留資格「技術・人文知識・国際業務」に適合した業務を実施
・外国人材:派遣先企業の業務内容に適した能力(学歴、実務経験)
*特に「派遣先企業」で行う業務内容と「外国人材の能力」の適合が最も重要になります。
法律違反の例
法律違反となる例を示します。
(1)在留資格に適合した業務を実施していない
(日本人では問題ない場合もありますが・・・)
・技術者として在留資格を取得したのに現場の単純労働に従事させる
・通訳・翻訳として在留資格を取得したのに現場の単純労働に従事させる
(2)労働者派遣法で定められている禁止事項
・二重派遣の禁止
・離職労働者の1年以内の受入れ禁止
・派遣先企業の派遣労働者との事前面接の禁止
外国人の採用は慎重に
今回は、「派遣」の外国人材活用について紹介しましたが、「派遣」だけでなく外国人材を採用する場合は、在留資格や就労制限を十分に把握して行うことが必要です。
外国人材の不法就労の場合、外国人本人だけでなく、働かせた企業も罰せられることになります。
人手不足で、外国人材が応募してきた場合、慎重な対応をお願いします。
不明な場合は、当事務所にお問い合わせ下さい。法律に則った対応をご説明し、必要な手続きを請負います。