入管法違反事件の現状
2024年6月28日に出入国在留管理庁から「令和5年における入管法違反事件について」が公表されており、その中の不法就労の状況について紹介します。
なお詳細は出入国在留管理庁のホームページをご覧下さい。
入管法違反事件の推移
直近5年間の入管法違反事件の推移を示します。
令和4年(2022年)は、コロナ入国入国制限による外国人の減少により、入管法違反事件は減少していますが、制限解除と日本国内の人手不足を補う外国人材の活用の増加などで、2023年は増加に転じています。
下記の図に示されるように、「不法残留」これによる「不法就労者」が多くなっています。
「不法就労者」は外国人の問題ですが、不法残留の外国人を不法に働かせている企業や個人事業者、また、このような状況に至る社会・政治にも問題があります。
違反の国籍別
入管法違反事件の国籍別の推移
違反者の国籍別の推移を示します。「ベトナム」が最も多く全体の「38.2%」を占めており、次いで「タイ」「中国」の順になっています。
ベトナムと中国は2年前に比べ減少していますが、「カンボジア」「タイ」は増加しています。
不法就労事件の国籍別
不法就労についても「ベトナム」「タイ」「中国」の順になっており、この3ヶ国で「77%」を占めています。
直近、技能実習や特定技能で人数が増えている「カンボジア」や留学生が増えている「スリランカ」の増加率が大きくなっています。
不法就労者の就労内容別
下図に示すように人手不足が深刻な「農業」と「建設業」が多くなっています。3番目の「工員」を加えると「70%」を超えています。これらの人手が必要な産業の抜本的な生産性向上の取組みが必要になっています。
不法就労者の報酬(日額)
下図のように不法就労者の報酬の日額は、最低賃金よりも低額の「7,000円以下」で働いているケースが多く(全体の63.2%)、雇う側が外国人を低賃金で働かせている状況です。
現在の日本社会は「少子高齢化」の加速により、日本人の生産年齢人口の減少により、多くの産業で人手不足が深刻な問題になっています。その中で国の施策もあり、「外国人材の活用」が進められています。
今回報告の「入管法違反事件」に関しては、当事者の外国人に問題がありますが、その外国人が法律を犯すに至る過程の中で、雇用する側あるいは外国人を不当に働かせているブローカーなどにも問題がある場合が多いと思われます。
「真の外国人との共生社会の実現」に向けて、政府も様々な施策を進めています。法律や政府の施策を理解して、外国人材の活用が進められるように、当事務所では「外国人の在留資格」の取得支援と関連の「アシスト国際事業協同組合」(技能実習の監理団体、特定技能の登録支援機関)との連携による外国人材の活用支援に取り組んでいます。
人手不足等で外国人材の活用をご検討されている方はお問い合せ下さい。
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