「経営・管理」ビザの取得は厳しくなっている?
- 2025年8月8日
- 外国人の就労系ビザの取得支援
1. 現時点での「経営・管理」ビザの審査基準の変更・追加点
・資本金要件:
現在の最低資本金は500万円ですが、出入国在留管理庁(入管)はこれの引き上げを検討しており、最終調整段階にあるとの情報があります。
・その他の審査ポイント:
形式的な会社設立ではなく、実質的な経営活動の実態(事業所の実在、従業員の雇用実績など)をより厳密に確認する動きが強まっています。
事業計画の内容、実現可能性・収益性を重視し、表面的な計画では不十分な審査傾向が続いています。
2. 許可率・審査期間の傾向
・許可率:
昨今、「経営・管理ビザは厳しくなった」「許可率が低下した」と感じられるのは、過去と比較した主観的な印象が大きいものの、実際に審査基準が年々厳格化しているのは事実と思われます。
正確な数値は公表されていないものの、審査の質的な変化から不許可率が上昇していることが示唆されます。
・審査期間:
明確な期間短縮や延長の報告は見つかりませんでした。ただし、申請書類の内容が不十分な場合や立証資料に不備がある場合には、審査が遅延する傾向があると推察されます。
3. スタートアップビザと制度改革
・スタートアップビザ(Designated Activities)制度の全国展開:
2025年1月1日より、日本国内全自治体でスタートアップビザ制度が導入され、従来の限定地域から全国へ拡大されました。滞在期間も最大2年へ延長されています。
厳密には「全自治体」そのものが対象というより、経済産業大臣から認定を受けた自治体・団体を通じて利用可能という形です。すでに認定を受けている自治体(例:東京都、福岡市、大阪市など)はすぐに対応できますが、未認定の自治体を含め、「全国で活用できる制度」という意味合いです。
相談者は、福岡県での創業を検討しているので、北九州市と福岡市の「特区」のスタートアップビザを検討することも考えられます。
・制度連携:
このスタートアップビザ期間中(最大2年)に、事業所、資本金、従業員雇用など「経営・管理ビザ」要件を満たせば、切替申請可能です。初期段階では要件一部を緩和しながら事業構築に集中できるというメリットがあります。
4. 今後の対応
・資本金と実態を増強:
検討中と思われる資本金の増額を見越し、資金調達計画と実在性のある事業所・雇用体制を整え、本気度を証明する立証資料を準備しておくことが重要です。
・事業計画書の充実:
市場調査データ、収益シミュレーション、支出見通しなどを詳細に反映した説得力ある事業計画書にブラッシュアップしておくと審査上有利です。
・補足資料の整備:
物件契約書、オフィス写真、従業員雇用契約、顧客リストや取引実績、議事録など、「名義貸しではない実態」が確認できる資料が審査時に評価されます。
相談者へ伝えた内容のポイント
・「審査が厳しくなっている」という相談者の印象は、実際に審査の実態が厳格化しており、許可率は相対的に低下傾向だと判断できます。
・ただし制度自体は完全に閉鎖されているわけではなく、スタートアップビザを活用することで、段階的かつ戦略的に経営・管理ビザへの道を切り開ける状況です。
・今後資本金要件が引き上げられる可能性が高いため、準備を急ぎ、強固な立証資料を整えることが望まれます。
専門家との連携
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計画的な準備が成功への近道です。
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