外国人留学生の就職状況
現在と今後の各産業での「人材不足」の対応として、外国人材の活用が重要になってきています。その中で、国内の教育機関(大学、専門学校など)を修了した外国人留学生は、日本語能力が比較的高いので期待が高まっています。
2023年12月に出入国在留管理局から「2022年(令和4年)における留学生の日本企業等への就職状況」が公表されています。外国人材の採用を検討されている方はご参考にして下さい。
外国人留学生の就職状況
1 全体数の推移
2022年には、「35,363人」が就労の在留資格の取得を申請し、「33,415人」が許可を得ています(許可率:94.5%)。
許可数は、過去最高になっています。今後も増えると見込まれます。
2 国籍・地域別
国籍・地域別では、従来通り「中国」が最も多いですが、直近は、「ベトナム」「ネパール」「スリランカ」「ミャンマー」が増えています。中国、韓国、台湾は減少傾向です。
各国(上位5ヶ国)の占有率を示します。
3 最終学歴別
最終学歴別を示します。参考として、2020年のデータも示します。2022年は「専修学校(専門学校)」の卒業生が増えています。これは、国別で「ベトナム、ネパール、スリランカ」が増えたことと関連があると推察しています。
<参考:2020年の最終学歴別>
4 在留資格別
在留資格別では、高度人材の典型的な「技術・人文知識・国際業務」が「86.3%」を占めています。
また、就職せずに起業したと思われる「経営・管理」の在留資格の取得者が「1.3%:430人」となっているが、2017年の「3.2%:712人」からは減少している。
「特定活動」は、2019年から「特定活動46号:本邦大学卒業者」が認められたことにより増えてきています。
5 職務内容別
職務内容別では、「翻訳・通訳:16.1%」と最も高く、次いで「情報処理・通信技術:7.7%」になっています。
技術系(理系)よりも経営系(文系)が多くなっています。
また、介護福祉士は、2020年には「その他」に埋もれていましたが、2022年には「2,035人:3.7%」とランクインしています。介護職員が不足している中で期待が持てます。
6 就職先企業等の従業員数別
従業員数50人未満の企業等に就職した者が「13,906人(41.6%)」と最も多く、これを含め100人未満の企業等に就職した者が「17,808人」と全体の「53.3%」を占めています。
小規模の会社ほど人手不足が深刻で外国人材に頼る現状が示されています、
7 就職先の所在地別
東京都に所在する企業等に就職した者が「12,186人(36.5%)」と最も多く、次いで、大阪府、神奈川県、埼玉県、愛知県で、大都市圏へ集中しており、地方の人材不足の解消には寄与していないと感じます。