入管白書(2023-2)~不法残留・不法就労~ - 北九州アシスト法務事務所

入管白書(2023-2)~不法残留・不法就労~

2023年12月に「2023年版・出入国在留管理(入管白書)」が公表されています。

前回(2023年12月24日)、2022年の在留外国人の人数が過去最高になったことを報告しました。

在留外国人数についてはこちら

今回は、外国人が日本の法律を犯して日本に留まっている「不法残留」と、働いてはいけないのに働いている「不法就労」について入管白書に記載されていることをベースに紹介します。

これらは法律を犯している外国人に問題がありますが、日本側にも問題があるケースもあります。現在、日本社会は「人手不足」の課題を抱えており、在留資格の面で働けない外国人を雇っている事業者も存在し、この場合は事業者側も罰せられる可能性があります。

外国人の不法残留の状況

2023年1月1日時点で、「70,491人」が不法残留状態になっています。各種の在留資格の在留期限が切れた状態で日本から出国していない外国人の数です。そのため、ほとんどは、居住している場所も分からない状況です。

国籍・地域別の状況

次の図に1983年~2023年の不法残留者の国籍・地域別の推移を示します。

コロナ禍の入国制限により、2021年、2022年と減少していましたが、2023年に増加になっています。コロナ禍では母国に帰るのが困難のため「特定活動」の形でコロナ禍以前よりも緩い条件で日本に滞在できたことにより、不法残留が減ったと思われます。その特別措置が終了することにより増加に転じたものと思われます。

直近5年間の国籍・地域別の不法残留者数を示します。

ベトナムは、技能実習生や留学生の失踪(行方不明)等により最も多くなっています。韓国が多いのは、観光等の短期滞在で入国し期限がきても帰国しなかったケースが多いと推察されます。

スリランカは、留学生が増え、学校を修了後就職できなくて国に帰らなくて行方不明になっていると推察します。

在留資格別の状況

次の表に在留資格別の不法残留者数を示します。

先の国籍・地域別の上位3ヶ国と合せると次のようになります。

ベトナム:特定活動、技能実習、留学が多い

韓国、タイ:短期滞在が多い

 

外国人の不法就労の状況

2022年中に退去強制手続き等を執った入管法違反者のうち、不法就労していることが認められた者は「6,355人(61.7%)」で、潜伏する不法残留者の60%以上が不法就労しています。

このような状況は、不当に安い賃金で働く不法就労者が日本人労働者の雇用機会を奪うことなど、公正な労働市場を侵害するとの指摘がされています。

また、不法就労を斡旋する「ブローカーの存在」や「労働災害でも十分な補償が受けられない」などの問題も発生しています。

国籍・地域別の状況

人数的には「ベトナム」が最も多く、「中国」「タイ」が続いています。

「カンボジア」は技能実習生が増えたこと、「ネパール」と「スリランカ」の両国は留学生が増えています。技能実習や留学が修了した後に認められた就労ができなくて、正規の在留資格が取得できずに不法就労に及んだと思われます。

就労内容別の状況

現在、人手不足で困っている「農業」「建設業」で不法就労者が多くなっています。

 

人手不足の中での外国人材の活用

当事務所にも「外国人を雇いたいのだが・・・」という相談が多く入っています。

その中には、外国人材の経歴(学歴・職歴)と働く事業者での業務内容が結びつかずに「在留資格」が取得できなくて、働けないケースも幾つか入ります。

先にも示しましたが、「不法就労」は外国人だけでなく、働かせた事業者も罪になることもあります。

コロナ禍前よりも「外国人材の就労」に関して、社会的に理解が進んできていますが、中小企業や小規模事業者の中には理解ができてなく、知らずに採用してしまうケースもあるかと思います。

当事務所では、外国人材の在留資格の取得(申請)の前段階での相談対応も行っていますので、お問い合わせ下さい。

当社への問合せはこちら

また、「技能実習の監理団体」と「特定技能の登録支援」を行っている、関連機関の「アシスト国際事業協同組合」と連携して、現場作業の外国人材の活用を検討することができます。

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