士業・コンサルが今、外国人材活用を無視できない理由
― 経営支援と在留資格実務の接点 ―
日本の中小企業支援に携わる士業・コンサルタントの先生方にとって、近年ますます無視できなくなっているテーマがあります。それが「外国人材活用」です。
かつては一部の業種や都市部の企業に限られた話題でした。しかし現在では、地方を含めた中小企業において、外国人材は事業継続や成長戦略の一部として位置づけられる時代に入っています。
人手不足は一時的な現象ではありません。人口減少は構造的であり、今後さらに進行します。特に製造業、建設業、介護、サービス業などでは、外国人材なくして事業が成り立たないケースが増えています。
そしてこの流れは、「人手不足対策」という枠を超え、経営戦略そのもののテーマへと変化しています。
外国人材活用は「制度問題」ではなく「経営問題」
士業・コンサルタントの先生方が現場で受ける相談の中にも、次のようなものが増えているのではないでしょうか。
・「外国人を雇えないか?」
・「特定技能は使えるのか?」
・「外国人社長の在留資格は大丈夫か?」
・「赤字が続いているが、更新に影響はないか?」
これらは一見すると「入管手続き」の問題のように見えます。しかし実際には、事業内容、収益性、継続性、組織体制と密接に関係しています。
特に最近では、在留資格の審査において「事業実態」「収益性」「継続性」の確認がより厳格に行われる傾向があります。単に書類が整っていれば良いという時代ではなくなっています。
つまり、在留資格は経営と切り離して考えることができないのです。
支援現場で起きている「見えにくいリスク」
外国人材活用の現場では、次のようなリスクが発生しやすくなっています。
1.制度選択の誤り
業種や業務内容に合わない在留資格を想定してしまい、後で修正が必要になるケース。
2.雇用後の実態と申請内容のズレ
配置転換や業務変更によって、申請内容との整合性が崩れるケース。
3.外国人経営者の更新問題
赤字決算や事業縮小が続き、「経営・管理」の更新に影響が出るケース。
4.再生・廃業・M&Aと絡む問題
事業再生や廃業、M&Aにおいて、外国人役員や従業員の在留資格整理が同時に必要になるケース。
これらは、経営支援と制度実務が交差する領域です。どちらか一方だけでは十分な支援にならない場合があります。
士業・コンサルの専門性を守るための連携
ここで重要なのは、「すべてを理解すること」ではありません。
税理士の先生は税務・会計に強みがあります。
中小企業診断士の先生は経営分析・事業計画に強みがあります。
ITコンサルタントの先生は業務設計・DXに強みがあります。
それぞれの専門性を活かしながら、在留資格という制度実務の部分を適切に分業することが、結果として顧問先にとって最も合理的な支援になります。
外国人材活用は、「誰か一人が抱えるテーマ」ではありません。むしろ、専門家が連携することで質が高まる分野です。
行政書士としてできること
当事務所では、外国人経営・外国人雇用に関する在留資格実務を専門分野として対応しています。
単なる書類作成ではなく、
・事業計画と整合した在留資格整理
・資金繰りや決算状況を踏まえた更新対応
・再生・廃業・M&Aを見据えた在留資格の整理
・不許可リスクを前提にした現実的な対応
といった、経営支援と連動した実務を重視しています。
目的は、先生方の顧問関係を侵害することではありません。あくまで、制度実務の部分を専門的に補完することです。
連携のメリット
士業・コンサルの先生方にとって、連携によって得られるメリットは明確です。
・制度判断に迷う時間が減る
・不許可リスクへの不安が軽減される
・顧問先への説明責任が整理される
・経営支援により集中できる
そして何より、「相談できる専門家がいる」という安心感が、支援力そのものになります。
まずは判断だけでも
外国人材に関する案件は、すぐに申請を前提とする必要はありません。
「このケースは可能か?」
「どの在留資格が想定されるか?」
「リスクはどこにあるか?」
こうした初期判断・方向性整理の段階から対応可能です。
迷った段階で専門家に確認することが、結果的に顧問先を守ることにつながります。
外国人材活用は、今後さらに広がる
技能実習制度の見直し、特定技能の拡充、高度外国人材の活用促進など、政府の施策も外国人材活用を前提とした方向に進んでいます。
この流れは一時的なものではありません。
中小企業支援に携わる士業・コンサルタントにとって、外国人材活用は今後、確実に増えていくテーマです。
制度をすべて理解する必要はありません。
しかし、相談できる専門家との連携体制を持つことは、支援の質を高める重要な要素になります。
外国人材活用を「制度問題」ではなく、「経営支援の一部」として捉えること。
その視点が、これからの中小企業支援には求められています。