組合ブログ(11)技能実習・育成就労・特定技能の違い
― 外国人材を受け入れる企業が知っておくべき制度の整理 ―
日本では少子高齢化による人手不足が深刻化する中、外国人材の活用は多くの企業にとって重要な経営課題となっています。現在、外国人材の受入制度として広く利用されているのが「技能実習制度」と「特定技能制度」です。そして今後、この技能実習制度は廃止され、新たに「育成就労制度」が導入される予定となっています。
そのため、企業の皆さまからも
「技能実習と特定技能は何が違うのか」
「育成就労制度とはどのような制度なのか」
という質問を受ける機会が増えています。
今回は、外国人材を受け入れる企業が理解しておくべき三つの制度の違いについて整理してみたいと思います。
技能実習制度とは
技能実習制度は1993年に創設された制度で、本来の目的は「開発途上国への技能移転」です。日本の企業で技能を習得し、その技術や知識を母国の発展に役立ててもらうことを目的としています。
技能実習には次のような特徴があります。
・在留期間は最長5年
・転職は原則認められていない
・監理団体を通じた受入れ
・技能試験などの評価制度
制度上は「実習」という位置づけですが、実際には多くの企業にとって重要な労働力となっています。その一方で、制度目的と実態の違いが長年指摘されてきました。
また、労働環境や転籍の問題、実習内容と業務の乖離など、さまざまな課題も指摘されており、政府は制度の見直しを進めることになりました。
特定技能制度とは
特定技能制度は2019年に創設された制度で、人手不足が深刻な産業分野において外国人材を受け入れることを目的としています。
技能実習制度と大きく異なる点は、外国人材を「労働者」として受け入れる制度であることです。
特定技能には次のような特徴があります。
・一定の技能試験に合格する必要がある
・転職が可能
・監理団体は不要
・企業が直接雇用する
現在、特定技能の対象分野は拡大しており、製造業、建設業、介護、外食など多くの分野で外国人材の受入れが進んでいます。
また、技能実習を修了した人材が特定技能へ移行するケースも多く、企業にとっては即戦力となる人材を確保できる制度として注目されています。
新しい制度「育成就労」
現在の技能実習制度は将来的に廃止され、新たに「育成就労制度」が導入される予定です。制度開始は2027年が予定されています。
育成就労制度は、これまでの技能実習制度の課題を踏まえて設計された制度であり、外国人材を日本の産業を支える人材として育成することを目的としています。
主な特徴としては次のような点が挙げられます。
・外国人材を労働力として受け入れることを明確化
・特定技能への移行を前提とした制度
・一定条件で転籍を認める
・日本語教育や技能向上の強化
つまり、これまでの技能実習制度が「技能移転」を建前としていたのに対し、新制度では外国人材を日本の労働市場の一員として受け入れる制度へと変わることになります。
企業にとって重要になる視点
制度が変わる中で、企業にとって重要になるのは「外国人材をどのように育て、定着させるか」という視点です。
これまでのように「実習生を受け入れる」という考え方だけではなく、
・長期的な人材育成
・日本語教育
・働きやすい職場環境
・キャリア形成
などを考えることが重要になります。
特に、技能実習から特定技能へと移行する流れが強まる中で、外国人材を長く活躍できる人材として育成する企業ほど、人材確保の面でも有利になると言われています。
制度の変化は企業のチャンス
外国人材制度の見直しは、企業にとって不安要素と感じる部分もあるかもしれません。しかし見方を変えれば、人材確保の仕組みがより現実的な制度へと変わっていくとも言えます。
日本の人口減少が進む中で、外国人材は今後ますます重要な存在になります。
制度の違いを正しく理解し、自社に合った形で外国人材を活用していくことが、これからの企業経営にとって大きなポイントになるでしょう。
アシスト国際事業協同組合としても、制度の動向を踏まえながら、受入企業の皆さまが安心して外国人材を活用できるよう支援を行っていきたいと考えています。