組合ブログ(8)技能実習生を”戦力”に育てる職場づくりとは
「技能実習の管理団体」「特定技能の登録支援機関」である「アシスト国際事業協同組合」のメールマガジンに掲載しているブログを順次掲載します。
*当事務所の代表が設立時の発起人で、現在、「監事」を務めています。
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技能実習生を”戦力”に育てる職場づくりとは
技能実習制度は、単なる人手不足を補うための制度ではありません。制度の本来の目的は、「人材育成」を通じた国際貢献であり、実習生を受け入れる企業にとっても、教育体制や現場力を見直す契機となる重要な制度です。今号では、技能実習生を“戦力”に育てることで、企業の生産性向上や組織力強化につなげる取り組みを紹介します。
1 “教える現場”が企業を変える
技能実習生を受け入れる際、企業は「業務内容を体系的に伝える」必要があります。これを実現するには、作業手順や工程ごとの注意点を可視化し、教育用のマニュアルを整備する必要があります。このプロセスを通じて、現場にあった属人的な業務が標準化され、誰でも理解できる仕組みづくりが進むのです。
また、教育係として若手社員が指導役を担うことで、「人に教える経験」を得ると同時に、仕事への理解や責任感が育まれます。結果的に、実習生の育成を通じて、現場の組織力や人材の質の底上げが実現されるのです。
2 小さな成長の積み重ねが“戦力化”の鍵
技能実習生は、来日当初は日本語や作業に不慣れですが、丁寧な指導と段階的な教育によって確実に成長していきます。特に、毎日の声かけや定期的なフィードバック、達成目標の明示など、育成の基本を着実に実践することで、実習生は「指示待ち」から「自発的な行動」ができる存在へと変わっていきます。
この成長のプロセスをチーム全体で共有することが、現場の一体感やモチベーションの向上につながります。技能実習生を単なる「作業者」と捉えるのではなく、“育てれば育つ人材”として向き合う姿勢が現場文化を変える第一歩です。
3 戦力化した実習生がもたらす波及効果
実習生が一通りの業務をこなせるようになった後、その存在は企業にとって大きな力になります。技能やスピードが向上し、日本人社員と同等のパフォーマンスを発揮できるようになることで、生産性の向上や人員計画の安定化に貢献します。
また、現場における多国籍メンバーとの協働が常態化することで、職場の柔軟性や対応力も向上します。多様な価値観に触れることで、従業員の意識も変わり、職場の風通しが良くなるという効果も報告されています。
まとめ:育成はコストではなく「投資」
技能実習生の育成には一定の手間とコストがかかりますが、それは「負担」ではなく、企業の未来を創る投資です。受け入れ企業が育成に真剣に取り組めば、実習生は必ず成長し、やがて“現場を支える戦力”として大きな役割を果たします。
現場の仕組みや人材育成のあり方を見直す良い機会として、技能実習制度を有効に活用していくことが、これからの中小企業の競争力強化に繋がるといえるでしょう。
当事務所にご連絡頂ければいっしょに取り組んで行きます。
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