組合ブログ(13)外国人材を受け入れる企業の労務管理のポイント
~育成就労制度時代に求められる「選ばれる企業」とは~
近年、人手不足を背景に外国人材を受け入れる企業が急速に増えています。技能実習制度に加え、特定技能制度の利用も広がり、さらに2027年には新たな「育成就労制度」が始まる予定です。
これまで外国人材の受入れでは、「採用できるか」が大きな課題でした。しかし今後は、一定の条件のもとで転籍が認められる育成就労制度の開始により、「定着してもらえる企業か」がより重要なポイントになります。
そのためには、適切な労務管理が欠かせません。外国人だから特別なルールがあるわけではありませんが、日本人社員以上に丁寧な説明や配慮が求められる場面も少なくありません。
今回は、外国人材を受け入れる企業が押さえておきたい労務管理のポイントについて解説します。
(1)外国人材にも日本の労働法が適用される
まず理解しておきたいのは、外国人であっても、日本国内で働く以上、日本人と同様に労働基準法や最低賃金法、労働安全衛生法などの労働関係法令が適用されるということです。
例えば、
- 最低賃金以上の賃金を支払うこと
- 法定労働時間を守ること
- 時間外労働には割増賃金を支払うこと
- 年次有給休暇を付与すること
などは、日本人社員と全く同じです。
「技能実習生だから」「外国人だから」という理由で例外になることはありません。
(2)雇用条件は分かりやすく説明する
外国人材とのトラブルの多くは、「説明不足」から始まります。
雇用契約書や労働条件通知書を交付していても、日本語が十分に理解できなければ、内容を正しく把握できません。
特に説明しておきたい事項は、
- 給与
- 控除内容
- 勤務時間
- 残業
- 休日
- 有給休暇
などです。
可能であれば母国語の資料や図表を活用し、「理解したこと」を確認しながら説明することが望まれます。
(3)残業・休日労働は特に注意する
外国人材の労務トラブルで多いのが、時間外労働や休日労働です。
例えば、
- サービス残業
- 割増賃金の未払い
- 休日出勤の扱い
などは、技能実習制度でもたびたび問題となっています。
また、「本人が希望したから」という理由でも、法令違反が認められるわけではありません。
適正な労働時間管理と賃金計算を徹底することが重要です。
(4)職場の安全教育を徹底する
外国人材は、日本の職場経験がない場合も多く、日本独特の作業ルールや安全管理を理解していないことがあります。
そのため、
- 写真やイラストを使った説明
- 実際に作業を見せながら指導する
- 危険箇所を繰り返し説明する
など、「伝えた」ではなく「理解した」ことを確認する教育が必要です。
安全教育は企業の責任であり、重大事故を防ぐためにも欠かせません。
(5)相談しやすい職場環境をつくる
外国人材は、日本語や文化の違いから、悩みを一人で抱え込むことがあります。
仕事だけでなく、
- 住居
- 病院
- 家族
- お金
などの相談を受けることもあります。
相談窓口を明確にし、日頃から声を掛け合うことが、トラブルや離職の防止につながります。
(6)育成就労制度では「選ばれる企業」が重要になる
育成就労制度では、一定の条件を満たせば転籍が認められる予定です。
これは企業にとって、
「外国人材から選ばれる企業になる」
ことが必要になることを意味します。
給与だけではなく、
- 働きやすさ
- 人間関係
- 教育体制
- キャリア形成
など、総合的な職場環境が評価される時代になります。
(7)監理団体・登録支援機関との連携も重要
外国人材の受入れでは、企業だけですべてを抱え込む必要はありません。
監理団体や登録支援機関には、
- 労務管理
- 法令改正
- 生活支援
- 定期面談
- トラブル対応
など、多くの支援機能があります。
困ったことがあれば早めに相談することで、大きな問題を未然に防ぐことができます。
おわりに
外国人材の受入れは、「採用したら終わり」ではありません。むしろ、受入れ後の労務管理や職場環境づくりが、企業の評価を左右する時代になっています。
育成就労制度の開始により、外国人材は企業を選ぶ時代へと移りつつあります。法令を遵守することはもちろん、「この会社で長く働きたい」と思ってもらえる職場づくりが、人材の定着と企業の成長につながります。
アシスト国際事業協同組合では、技能実習制度から育成就労制度への移行を見据え、組合員企業の皆様が安心して外国人材を受け入れられるよう、労務管理や生活支援、制度改正への対応など、幅広いサポートを行っています。
外国人材と企業がともに成長できる環境づくりを目指し、今後も皆様を支援してまいります。
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